eぶらあぼ 2022.12月号
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2023.1/28(土)14:00 第一生命ホール問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 https://www.triton-arts.netすみだクラシックへの扉 第12回2023.1/13(金)、1/14(土)各日14:00 すみだトリフォニーホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 https://www.njp.or.jpホールでシリーズ公演を始動させる。3年でベートーヴェン、バルトーク、ブラームス――クァルテットの「3大B」というべき3人の弦楽四重奏曲第1番から第3番までを取り上げるプログラムで、初回は3つの第1番。生涯弾き続けたいというベートーヴェン、要所で名演を実現してきたバルトークへの期待はもちろんのこと、メインにブラームスを置いたのも注目で、渋さや重厚さの表現で唸らせるのか、そんな固定概念を軽々と覆すのか。いま48クァルテット・ウィークエンド 2022-2023 クァルテット・インテグラ勢いに乗る若手筆頭四重奏団が「3大B」シリーズを始動 近年最も勢いのあるアーティストといえば、筆頭候補にあがるのはクァルテット・インテグラではないだろうか。桐朋学園在学中の2015年結成の若い団体ながら、早い段階で頭角を現して評判になり、昨年秋のバルトーク国際コンクール制覇で一気に知名度を拡大。大晦日恒例のベートーヴェン弦楽四重奏曲演奏会に抜擢されて絶賛を博し、リサイタル公演も成功を重ねた。そして今年のARDミュンヘン国際音楽コンクール第2位と聴衆賞の受賞は決定的な快挙で、世界最難関コンクールで物怖じせずにアグレッシブかつ完璧な演奏を披露し、会場に加えて配信でも世界中の聴衆を湧かせたのである。いまやどの公演もチケット入手が難しい人気ぶりだが、コンクール後(10月)にはヴィオラとチェロの配置を入れ替えてみるなど、日々探究と進歩を重ねているのも見逃せない。 そんな彼らが23年1月から第一生命高関 健 ©K.Miuraい渋い響きが充満、分厚い低弦がどっしりとした土台をつくった。サガンの小説『ブラームスはお好き』を原作とする映画『さよならをもう一度』(1961)の主題曲にもなった第3楽章は、チェロに朗々と主題を歌わせ、ヴァイオリンとの対位法も緻密だった。第4楽章の激情渦巻く再ネルソン・ゲルナー ©Marco Borggreve現部は高関の真骨頂で、熱気あふれる演奏が展開された。柔らかく繊細な響きを持つ新日本フィルとの共演では、また異なった演奏になるのではないだろうか。夕空が刻々と色合いを変えていくような、あるいは、虹が儚く消えていくような終楽章の最後にも期待したい。左より:山本一輝、三澤響果、菊野凜太郎、築地杏里のインテグラならどんな演奏でも実現できそうで、当日何が起きるのか、とにかく会場で体験したい。文:長谷川京介文:林 昌英高関 健(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団緻密な構築のうえに展開される起伏に富んだブラームス 高関健は1994年から2000年にかけて新日本フィルの指揮者を務め、同楽団とは深い関わりがある。今回、定期としては8年ぶりに新日本フィルに登場。綿密な譜読みで定評のある高関が得意とするブラームス・プログラムを指揮する。前半のピアノ協奏曲第2番は、ピアノと管弦楽が見事に融合、ピアノ独奏部を持つ交響曲とも言われるブラームス円熟期の名曲。ソリストはヨーロッパを中心に活躍し、世界的な名声を得ているネルソン・ゲルナーが務める。2009年、尾高忠明指揮のN響とこの曲を共演しており、たっぷりとした響きと細部にまで神経の行き届いた、音楽性豊かな演奏を披露した。高関が揺るぎなく構築するオーケストラと、ゲルナーの瑞々しいピアノが一体となる雄大な演奏が生まれることだろう。 高関指揮のブラームス「交響曲第3番」は、今年7月東京シティ・フィルでも聴いた。第1楽章冒頭からブラームスらし

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