eぶらあぼ 2022.12月号
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 創立450年を誇る世界最古クラスのオーケストラ、べルリン国立歌劇場管弦楽団「シュターツカペレ・ベルリン」が6年ぶりに日本公演を行う。しかも、指揮はドイツを代表する巨匠クリスティアン・ティーレマンで、演目は独墺の看板名曲。ならば当然、期待度MAXの公演となる。 ベルリン国立歌劇場管は、1570年に設立された超名門。1742年ベルリン宮廷歌劇場の開場とともにその座付きオーケストラとなって以来、O.ニコライ、R.シュトラウス、E.クライバー、カラヤン、コンヴィチュニー、スウィトナー等が「シュターツカペルマイスター」と呼ばれる総監督を歴任し、メンデルスゾーン、ワインガルトナー、フルトヴェングラー、クレンペラー、ワルターらの巨匠が指揮台に立ってきた。1992年からはダニエル・バレンボイムが30年もの間カペルマイスターを務めて、世界的な名声を確立。ベートーヴェン、ブラームスの交響曲全集をはじめとする録音でも絶賛を博し、前回2016年の来日公演では、9日間にわたったブルックナー交響曲全曲演奏におけるハイクオリティのパフォーマンスで、皆を驚嘆させた。 ティーレマンは、1959年西ベルリンに生まれた現代のトップ指揮者のひとり。ベルリン・ドイツ・オペラのコレペティトールからキャリアをスタートさせ、ドイツ各地の歌劇場で経験を積んだ後、97~2004年ベルリン・ドイツ・オペラ、04~11年ミュンヘン・フィルの音楽総監督、13~22年ザルツブルク・イースター音楽祭の芸術監督を歴任。12年よりシュターツカペレ・ドレスデンの首席指揮者を務めている。また、バイロイト音楽祭にも2000年以来毎年出演を重ね、15~20年には音楽監督を務めたほか、ベルリン・フィル、ウィーン・フィルの双方と良好な関係を築き、ロイヤル・コンセルトへボウ管、ロンドン響、シカゴ響など世界中の主要オーケストラに客演している。なおベルリン国立歌劇場には、22年6月に急遽ブロムシュテットの代役でオーケストラを指揮してデビューを果たし、10月にもバレンボイムの代役でワーグナー《ニーベルングの指環》第一チクルスを指揮して大好評を博している。 ベルリン国立歌劇場管は、柔らかくふくよかで底光りのするドイツ伝統の響きを持った、もはや稀少なオーケストラ。バレンボイムのもと、それを保持し文:柴田克彦ながら機能性を高めるという理想的な発展を遂げており、その実力の高さは、各種の録音や日本でのシューマン、ブルックナーの交響曲全曲演奏などで如実に証明されている。またティーレマンも、かつてのドイツの名匠と同じく、様々な歌劇場での下積みを経てメジャーな存在となった、これまた今や稀少な“叩き上げ”のマエストロ。重心の低い響きと堅牢にして大胆な音楽作りで魅了する、ドイツ指揮界の伝統の良き継承者だ。すなわち今回は、“ドイツ伝統”のコラボレーションを耳にする貴重な機会であり、しかもそこに顔合わせの新鮮さが加わった、極めてエキサイティングな公演でもある。 プログラムもそれに相応しい。1つは、ワーグナーの《トリスタンとイゾルデ》より〈前奏曲と愛の死〉とブルックナーの交響曲第7番。ワーグナーは、バイロイト音楽祭などの実績が示すティーレマンの十八番中の十八番であり、ブルックナーも、現在録音が進行中のウィーン・フィルとのチクルスで濃密かつ表情豊かな名演を続けている、ティーレマン自信のレパートリー。両曲共に、柔らかくも光輝なベルリン国立歌劇場管とのコラボでいかなる演奏が展開されるのか? 大いに注目される。 もう1つは、バレンボイムの意志を継ぐ「ブラームス・チクルス」。こちらももちろん、オーケストラの血に染み込んだ本流のサウンドと、往年の巨匠を思わせるスケール感や融通無碍の表現力を有するティーレマン円熟のアプローチが相まった、オーセンティックにしてフレッシュな名演が期待される。 この「ドイツ本場の指揮者とオーケストラによるドイツ伝統のプログラム」は、世界中のオーケストラが国際化・均質化していく中でひときわ強い光を放っている。これまさに日本のクラシック・ファン待望&垂涎のコンサートだ。Profile (クリスティアン・ティーレマン)1959年西ベルリン生まれ。2012年よりシュターツカペレ・ドレスデンの首席指揮者に就任。13年〜22年ザルツブルク・イースター音楽祭の芸術監督を務める。世界中の主要オーケストラに客演し、特にベルリン・フィル、ウィーン・フィル双方と良好な関係を築いている。19年1月にはウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートを指揮。ベルリン国立歌劇場では、今年6月急遽ブロムシュテットの代役でシュターツカペレ・ベルリンを指揮。10月にもバレンボイムの代役としてワーグナー《ニーベルングの指環》第一チクルスを務めて大好評を博した。29ドイツの伝統がすべてにこもった垂涎の日本ツアー

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