eぶらあぼ 2022.12月号
139/161

CDCDSACDCD136ハンス・ロット:交響曲第1番 他/ヤクブ・フルシャ&バンベルク響アルヴォ・ペルト:スターバト・マーテル/アレクサンドラ・クジャク 他ザ・パッション/齊藤一也フルシャは5年ほど前に初めてロットの交響曲に出会って夢中になり、首席指揮者を務めるバンベルク響との録音に至ったという。その“夢中”のエネルギーは、20歳の作曲家の夢想的なまでの才能の爆発とリンクし、心揺さぶる演奏に結実した。フルシャの明晰かつハイテンションな構築と、同響のルーツである中東欧の香りのする音色もすばらしい。幾度も訪れるクライマックスの柔らかな壮麗さ、絶美のソット・ヴォーチェで奏でられる第4楽章第1主題などには陶然とさせられる。作曲の師と親友の小曲のカップリングも素敵なアイディア。ロット再評価に欠かせない名盤となろう。(林 昌英)12月に「ウィーン弦楽合奏団」の名で来日ツアーも予定されているトマシュ・ヴァブニツ(ヴァイオリン、ヴィオラ)が指揮する室内管弦楽団による、ペルト作品の最新録音盤。ポーランドのコロラトゥーラ・ソプラノ、アレクサンドラ・クジャクとスター・テノール、ロベルト・アラーニャが夫婦で参加しているタイトル曲の弦楽オーケストラ版も当然聴きどころだが、弦楽三重奏とピアノによる静謐な「我が心はハイランドに」を筆頭に人気カウンターテナーのアンドレアス・ショルの美声を起用した4篇にどうしても心を掴まれてしまう。他、代表曲「鏡の中の鏡」も素晴らしい。  (東端哲也)N響奏者から東京藝大の准教授に転身後、多彩な活動を続ける日髙剛が、首席客演奏者を務める日本センチュリー響の仲間たちと録音したシュトラウス・アルバム。協奏曲第1番では、柔らかく温かな肉厚の音で、雄大にして晴れやかな演奏を展開し、聴く者に幸福感を与えてくれる。60年後に書かれた協奏曲第2番では、ナチュラルなフレージングで、力みなくインティメイトな最晩年の境地を表現。2曲の在り方の違いが明示される。望んで録音したという父子の小品も滑らかな歌い回しで美しい。全体を通してシュトラウスのホルン音楽の魅力を存分に満喫できる好盤。(柴田克彦)パリとベルリンで学び、カンピージョスやマリア・カナルスなど、数々の国際コンクールで上位入賞を果たし、世界から注目を集めているピアニストの齊藤一也。デビュー盤には彼の幅広いレパートリーを支えるテクニックが存分に発揮された超絶技巧作品を多数収めた。特にラフマニノフの「音の絵」におけるタッチの精密さと表現の緻密さには圧倒される。そのピアニズムの魅力は大曲でも活きており、「コレルリの主題による変奏曲」、そしてリストの「ダンテを読んで」では細部までこだわり抜かれた音色づくりが行われ、スケールの大きな音楽が構築されている。     (長井進之介)R.シュトラウス:ホルン協奏曲第1番、同第2番、アンダンテ 遺作/フランツ・シュトラウス:ノクターン op.7日髙剛(ホルン)粟辻聡 カーチュン・ウォン(以上指揮)日本センチュリー交響楽団ハンス・ロット:交響曲第1番/マーラー:アンダンテ・アレグレット「花の章」(交響曲第1番「巨人」第2楽章)/ブルックナー:交響的前奏曲 ハ短調ヤクブ・フルシャ(指揮)バンベルク交響楽団アルヴォ・ペルト:フラトレス、我が心はハイランドに、天にまします我らの父よ、鏡の中の鏡、何年も前のことだった、巡礼者の歌、スンマ、スターバト・マーテルアレクサンドラ・クジャク(ソプラノ)アンドレアス・ショル(カウンターテナー) ロベルト・アラーニャ(テノール) トマシュ・ヴァブニツ(指揮)モーフィング室内管弦楽団APARTE/キングインターナショナルAP 277 ¥オープン価格ラフマニノフ:コレルリの主題による変奏曲、10の前奏曲 op.23-4、「音の絵」op.33-5, 7、同op.39-5、パガニーニの主題による狂詩曲より第18変奏(齊藤一也編)/リスト:ダンテを読んで、泉のほとりで、ハンガリー狂詩曲第12番、愛の夢第3番 他齊藤一也(ピアノ)ユニバーサル ミュージックUCCG-45063 ¥3080(税込)収録:2021年1月、豊中市立文化芸術センター(ライブ) 他オクタヴィア・レコードOVCC-00167 ¥3520(税込)アールアンフィニMECO-1075 ¥3300(税込)R.シュトラウス:ホルン協奏曲第1番&第2番/日髙剛

元のページ  ../index.html#139

このブックを見る