結 MUSUBI 〜和楽器とオーケストラの共演〜日本を代表する作曲家の名作を継承し、新曲を世に送り出す 「結 MUSUBI ~和楽器とオーケストラの共演~」は、東西の美学の新たな出会いを体験できる異色のコンサートだ。注目は第2部の藤倉大の2作で、まず新世代の三味線界のホープ・本條秀慈郎による三味線協奏曲(2018)。本條は初演、アンサンブル版初演ともソリストを務めており、自家薬籠中のレパートリーだ。そして尺八界で頭角を現している黒田鈴尊による尺八協奏曲(2022)が日本でお披露目となる。こちらは今年フランスで世界初演されたばかりの新作だ。黒田は藤倉作品もしばしば手掛けており、両協奏曲の良き理解者である俊12/7(水)19:00 なかのZERO問 WAN world.and.nippon@gmail.com https://worldandnippon.wixsite.com/websiteInterview齊藤一也(ピアノ)「音の密度が高い本格派」を目指し作曲家&ピアニストの2大巨人と向き合う取材・文:池田卓夫 東京からパリ、ベルリン…と腕に磨きをかけて2020年、30歳を機に帰国した齊藤一也(ピアノ)が、公式デビューアルバム『ザ・パッション』(アールアンフィニ)を10月19日にリリースする。自身が超絶技巧のピアニストだったラフマニノフ、リストの作品を5曲ずつ、前者の今年1月12日、東京文化会館小ホールのリサイタルで芸風の大きな変貌を印象づけた「コレルリの主題による変奏曲」、後者のソナタ風幻想曲「ダンテを読んで」と規模の大きい作品をメインに対峙させ、小品4曲を合わせる趣向。ハンブルク・スタインウェイのフルコンサート・モデルを深く、味わいのある響きで鳴らし切った快演だ。選曲の背景や今後の目標などについて聞いた。――2人の「ピアノの巨人」を並べましたね。 「『コレルリ』はパリ以降ずっと温め、リストはドイツに行ってから手がけ…と自分が変化する過程で自然に培われ、共感を深めてきたレパートリーです。2人とも作曲家と演奏家が分離しつつあった時代にコンポーザー・ピアニストの頂点を極め、素晴らしい作品を残しました。僕自身、子どもの頃から作曲を学び、今も好きです。コンポーザー&ピアニスト界のスーパースター英たちのソロだけに、期待が高まる。 第1部には、柔和な響きに包まれた武満徹の「波の盆」(1996)、出会ユキが笙のソロを務める「セレモニアル」(1992)がプログラミングされた。 1930年生まれで96年に亡くなった武満と77年生まれの藤倉。西洋と東洋の出会いとその結びつきを世代が異なる作曲家たちがどのように表現するのか。ソリストたちの妙技と併せて、ぜひ堪能したい。に対する憧れもあり、2人を特集しました。リストは社交的で明確な作品名を好み、ラフマニノフはシャイで標題のない作品が多い、と表向きは対照的です。しかし、ラフマニノフの内に秘めた情熱の凄さ、リストの宗教に帰依して構築性を高めた晩年での根底の精神の気高さには相通じるものもあり、それが楽譜にもはっきりと現れているのが素晴らしいと思います。録音に使用したハンブルク・スタインウェイはダイナミックレンジだけでなく深く豊かなニュアンスに富み、それをアールアンフィニの録音がつぶさに再現しています」――とても集中力があり、どんどん引き込まれていく演奏です。ピアニストとして、「こうありたい」という目標はありますか? 「限りなく本格的な音、クオリティーの高さで聴かせるピアニストです。音の密度感というか、タッチの一つひとつに命をかけ、変化させる度合いが深ければ深いほど、聴く人の心にも届くのではないかと思います。ステージに立ち、ピアニストの僕一人と個々のお客様が一つの音で確実につながる——これをどうやって実現していくか、絶えずキャッチボールの可能性を考えています。僕が持つイメージを一方的に伝えるのではなく、お客様が抱いたイメージが返ってきて、自分の表現にも生かせるような循環です。30歳で『コンクールの季節』に区切りをつけて帰国、自分の演奏を客観的に見る目も養われつつあるなか、お客様からも説得力を授かれる演奏家でありたいと願っています」武満 徹 ©Tetsuya Fukui©Fukaya Yoshinobu文:伊藤制子藤倉 大 ©Yuko Moriyama/otocoto88CD『ザ・パッション』アールアンフィニMECO-1075¥3300(税込)10/19(水)発売
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