eぶらあぼ 2022.11月号
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第16回 渋谷の午後のコンサート11/24(木)14:00 Bunkamura オーチャードホール第95回 休日の午後のコンサート11/27(日)14:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京フィルチケットサービス03-5353-9522 https://www.tpo.or.jp12/10(土)14:00 京都府立府民ホール“アルティ”問 京都府立府民ホール“アルティ”075-441-1414 http://www.alti.orgい。ハイドンの「ジプシー」トリオは、古典的な作風の中では、珍しく民族色の前面に出た傑作である。ベートーヴェンの「幽霊」は緩徐楽章の奇怪な雰囲気からの愛称だが、激しい冒頭楽章と軽快な終楽章は、中期の充実したソナタ形式で書かれ、とても優れた三重奏曲だ。大井剛史 ©K.Miura 後半は、ドヴォルザークの交響曲第8番。ボヘミアの豊かな自然に根差したバイタリティあふれる交響曲だ。 指揮は、吹奏楽やオペラ、バレエなど幅広い分野でマルチな才能を発揮す左より:黒川 侑、阪田知樹、佐藤晴真ブラームスの第1番は若書きの瑞々しい魅力作であり、ロマンティックで初々しい情感に溢れている。しかも36年後に改訂されていて、晩年の熟達した書法も同時に聴くことができる。これら名作3曲で、若きヴィルトゥオーゾが火花を散らす演奏が今から楽しみだ。森 麻季 ©Yuji Horiる大井剛史。ドヴォルザークに憧れてプラハに留学した経験もあるという。彼の持ち味を十二分に生かしたダイナミックにしてエレガントなドヴォルザークが堪能できるはずだ。文:鈴木淳史文:横原千史84東京フィルハーモニー交響楽団 午後のコンサートバラエティに富んだプログラムとトークを愉しむ昼下がり 秋が深まる11月。ドヴォルザークの憂愁をたたえたメロディがいちだんと身に沁みる季節でもある。 「オーケストラをもっと身近に」をモットーに開催される、東京フィルハーモニー交響楽団による「午後のコンサート」。今回は、「クリスタル・クラシック」と題し、ドヴォルザークをメインにした曲目をトークとともに届ける。 ドヴォルザークの序曲「謝肉祭」で華やかに幕を開ける前半は、日本を代表するソプラノ歌手、森麻季を迎えたプログラムだ。ドヴォルザークならではの美しい旋律で知られる〈わが母の教えたまいし歌〉を、その透明感ある美声で聴かせてくれるだろう。続けて歌われるのは、山田耕筰による国民的な歌曲〈赤とんぼ〉と〈この道〉。さらに、プッチーニの歌劇《ラ・ボエーム》より、ムゼッタのアリア〈私が街を歩けば〉も披露するという。そのバラエティに富んだ内容がうれしい。黒川 侑・佐藤晴真・阪田知樹 ピアノトリオVol.3気鋭の若手奏者たちが奏でる室内楽の傑作三選 京都府立府民ホール“アルティ”で、黒川侑が佐藤晴真と阪田知樹に声をかけて結成されたピアノトリオが、鮮烈な演奏で注目を集めている。その3回目の演奏会は、ハイドン、ベートーヴェン、ブラームスの傑作を揃えたプログラムで開催される。 ヴァイオリニスト黒川侑は、今や世界的に活躍しており、先頃NHK-FMでも流れた広上淳一と京都市交響楽団とのプロコフィエフの協奏曲は、鋭い感性が光った名演であった。チェリスト佐藤晴真は、超難関のARDミュンヘン国際音楽コンクールで優勝。3月のリサイタルでの静謐な武満徹「オリオン」と激しく求心的なショスタコーヴィチのソナタが強く印象に残った。ピアニスト阪田知樹は、リスト国際ピアノコンクールの覇者であり、近年ベートーヴェンやシューマンなどドイツ音楽の演奏で高い評価を得ている。 そんな3人のトリオが悪いはずがな

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