eぶらあぼ 2022.11月号
85/173

第745回 東京定期演奏会〈秋季〉11/18(金)19:00、11/19(土)14:00 サントリーホール問 日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 https://japanphil.or.jp11/25(金)19:00 横浜みなとみらいホール問 横浜みなとみらいホールチケットセンター045-682-2000https://yokohama-minatomiraihall.jpオルガン・リサイタル・シリーズ46 近藤 岳 オルガン・リサイタルリニューアル・オープンを華やかに祝うオルガンの響き 壮麗なオルガンの調べで、深まりゆく秋の港町・横浜で週末のひとときを楽しんでみませんか? ーールーシーの愛称で長らく親しまれてきた横浜みなとみらいホールのオルガン。1ドルまたは100円で楽しめるランチタイム・オルガンコンサートは、音楽ファンはもちろん近隣市民の憩いの場でもあった。改修で休館していたホールのリニューアルオープンは、10月21日。以後、11月末まで記念コンサートが目白押しだが、2022年度から2代目のホール・オルガニストに就任した近藤岳が、再開後の初オルガン・リサイタルを担当する。プログラムは、きらびやかなルーシーの魅力が引き立つフランス・シンフォニックオルガンのレパートリーである。近藤は東京藝大、同大学院修了後、パリで研鑽を積み、内外のソロ・リサイタルに加えて、作曲・編曲でも活躍している。今回のプログラムはまさに洒脱なエスプリを身につけてきた近藤ならでても発揮されているのだろうと筆者は予想している。 そんな予想を確かめる機会が11月にやってくる。日本フィルを相手に、指揮・吹き振りを披露してくれるのだ。ドヴォルザークがピアノ曲に充実したオーケストレーションを施した「伝説」より第1、8、3曲。メインにはメロディアスで推進力に溢れたビゼーの交響曲第1番をチョイス。 オーボエの妙技もたっぷりと楽しめる。素朴な旋律に溢れたドヴォルザーク「管楽セレナーデ」では、日本フィル・はの選曲だろう。 リサイタルは、19世紀末から20世紀初頭のフランスで奏者、教師としても活動したシャルル=マリー・ヴィドールの「オルガン交響曲第6番ト短調」 で始まる。続いてオルガン即興の名手としても名高いマルセル・デュプレの洒脱な「3つの前奏曲とフーガ op.7」。締めくくりは、セザール・フランクの敬虔な中にも華やかさのある「3つのコラール」より 〈コラール第1番ホ長調〉だ。どの作品も色鮮やかで洗練された響きに包まれており、ホールが美しい輝きで満たされることだろう。フランソワ・ルルー ©ThomasKostメンバーとともに安定感あるアンサンブルを織り、モーツァルトのオーボエ協奏曲では、力強く輝かしい音色をホールいっぱいに響かせるだろう。文:江藤光紀文:伊藤制子 ©平舘 平82フランソワ・ルルー(指揮/オーボエ) 日本フィルハーモニー交響楽団初共演のコンビで聴く、オーボエとアンサンブルの魅力 現代を代表するトップ・オーボイスト、フランソワ・ルルーがバイエルン放送響にいた頃、筆者はミュンヘンにいて演奏によく接したものだが、彼の音にはドイツものにもしっかり馴染む落ち着きや風格があった。近年は人気奏者のドリームチームともいうべきレ・ヴァン・フランセで聴いているが、アンサンブルに抜群の安定感を与える彼の演奏には、オーボエという楽器からは想像しにくい馬力や芯の強さがある。音楽の性格に沿って発揮されるこうした存在感に、トップ奏者たるゆえんを感じる。 そのルルーが、近年は指揮者としても急速に活動範囲を広げている。2022/23のシーズンだけで、スウェーデン室内管、ケルン放送響、スコットランド室内管、バーミンガム市響、ハンガリー国立フィル、チロル響とヨーロッパを股にかけた活躍ぶりだ。音楽を根っこから掴んでくる能力は、指揮者とし

元のページ  ../index.html#85

このブックを見る