eぶらあぼ 2022.11月号
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第645回 定期演奏会〈トリフォニーホール・シリーズ〉 11/3(木・祝)14:00 すみだトリフォニーホール〈サントリーホール・シリーズ〉 11/4(金)19:00 サントリーホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 https://www.njp.or.jp第291回 11/9(水)18:00第292回 12/10(土)14:30第294回 2023.1/20(金)18:00東京文化会館(小)問 日本テレマン協会06-6345-1046 yoyaku@cafe-telemann.comhttp://www.cafe-telemann.com定されているという。まさにヨーロッパのオーケストラがその活動に注目している指揮者である。 クルレンツィスのオペラ録音にも通奏低音奏者として参加するなど、エメリャニチェフ自身が優れたチェンバロ、フォルテピアノ奏者であることから、今向をいくぶんか変えながら。そこに日本テレマン協会らしさが色濃くにじむ。聴衆の求めに応じつつ、生演奏の活き活きとした即興性を失わない。 こうした挑戦を楽団の若手に任せるのも、延原の戦略のひとつだ。12月には高田泰治(チェンバロ)による「ゴルトマクシム・エメリャニチェフ ©Tessa Posthuma de Boer延原武春回のプログラムのなかのハイドンの演奏は注目されるし、名手メルニコフとの共演、そしてラフマニノフの最後の大作とも言える「交響的舞曲」でのタクトさばきにも期待が高まる。伝説のコンサートとなるかもしれないこの公演は要チェックだ。アレクサンドル・メルニコフ ©Julien Mignot高田泰治文:片桐卓也文:澤谷夏樹鷲見 敏ベルク変奏曲」、来年1月には鷲見敏による「無伴奏チェロ組曲」の両全曲演奏会を開催する。彼らも毎年、様々な角度からバッハの作品世界に迫っている。 延原の老練の深慮と、若い演奏家の新鮮な取り組みとが、今年も東京で火花を散らす。78マクシム・エメリャニチェフ(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団欧州の音楽シーンを席巻する若手シェフが登場 今年は特に若手指揮者の登場に注目が集まっているが、その中でおそらく最も若くして指揮者デビューを果たしたのでは、と思われるのがロシア出身のマクシム・エメリャニチェフだ。その時、なんと12歳。神童と言われたロリン・マゼールのエピソードを思い出させる。 そのエメリャニチェフが新日本フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会に登場する。プログラムはハイドンの交響曲第95番、プロコフィエフのピアノ協奏曲第2番(ソリストはアレクサンドル・メルニコフ)、そしてラフマニノフの「交響的舞曲」だ。 1988年生まれのエメリャニチェフは、指揮者としてはすでにスコットランド室内管、古楽の団体であるイル・ポモ・ドーロの首席指揮者を務めているほか、ロンドン・フィル、パリ管、リヨン国立管、東響などに客演を重ねており、今後はベルリン・フィルへのデビューも予日本テレマン協会 東京定期演奏会関西古楽界の雄が対峙する、バッハ器楽曲の傑作 西日本の常設演奏団体で、もっとも頻繁に東京公演をおこなう楽団はどこか。日本テレマン協会だ。年間5回の定期演奏会を、上野の東京文化会館で開催する。かつての名称「大阪テレマン協会」の冠を「日本」に変えたのが1979年。ほどなくして東京で定期演奏会を始めた。協会にとって首都でのコンサートは、「日本」を名前に戴く矜持のあらわれだ。 音楽監督・指揮の延原武春は、明確な方針を持って上野での公演に臨んでいる。「お江戸のお客さまは本格的なプログラムがお好き」。その直感から「バッハ・器楽作品・全曲演奏」路線を導いた。 その象徴が11月の「ブランデンブルク協奏曲全曲公演」である。バッハ畢生の傑作器楽曲集。多くの音楽ファンが、いちどは耳にしたことのある作品群だが、一晩で全曲ライブの機会となるとそうそう得られるものではない。 それを敢えてする。しかも毎年、趣

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