eぶらあぼ 2022.11月号
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第252回 土曜マチネーシリーズ 11/26(土)第252回 日曜マチネーシリーズ 11/27(日) 各日14:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 https://yomikyo.or.jp森 麻季(ソプラノ) & 錦織 健(テノール) デュオリサイタル豪華競演で名アリアを堪能する華やかなステージ なんとも贅沢な顔合わせだ。人気と実力を兼ね備えたプリマドンナであるソプラノの森麻季と、おそらくクラシック歌手の中ではピカイチの知名度を誇るテノールの錦織健のデュオ・リサイタルが千葉県文化会館大ホールで開催される。題して「アメイジング・ソングス ~愛と煌めきを歌にのせて~」。まさに煌めきそのもののようなふたりの歌声を堪能できるプログラムだ。 たとえばプッチーニの歌劇《ラ・ボエーム》から〈冷たき手を〉は、詩人のロドルフォが、出会ったばかりのお針子ミミの手をとり自己紹介をするアリア。プッチーニ一流の流れるような美しいメロディを、錦織の甘く輝かしい高音が紡ぎ上げる様が聴こえるようだ。ベッリーニの歌劇《ノルマ》の〈清らかな女神よ〉は、ソプラノにとって屈指の難曲といわれるアリア。禁を犯して敵将ポリオーネと愛し合ってしまった巫女ノルマが祈りを捧げる歌だ。清楚で透明感のある森の歌声にかかれば、11/13(日)14:00 千葉県文化会館問 千葉県文化振興財団043-222-0077 https://www.cbs.or.jp腕が存分に生かされるはずだ。 そして、昨年ARDミュンヘン国際音楽コンクールで優勝した岡本誠司を迎えて、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」。作品の本質をストレートに伝えるヴァイオリニストが、モーツァルトに実直に向かい合う。トマーシュ・ネトピル ©読響森 麻季 ©Yuji Horiきっと一瞬でオペラの舞台である深い森へと誘い込まれることだろう。 ふたりの名歌手をサポートするのは、今や歌曲の世界でなくてはならないピアニストとして知られている山岸茂人。豊かな知識と深い楽曲理解に基づいた確実で安定感のある演奏に、錦織 健 ©大八木宏武(都恋堂)多くの歌手たちがこぞって彼を指名するほど。今回も見事なピアノで支えてくれるに違いない。チケットの価格もリーズナブルで、しかも小中高生はなんと500円という破格。晩秋のひと時、ぜひご家族で美しい歌の世界に遊んでみてはいかがだろうか。文:鈴木淳史文:室田尚子岡本誠司 後半は、ドヴォルザークの交響曲第9番 「新世界から」。若き指揮者の研ぎ澄まされた感性が、このよく知られた曲でどのように発揮されるのか。立体的にバランスを図り、そして旋律を爽やかに歌わせた、新しい「新世界」を期待したい。72トマーシュ・ネトピル(指揮) 読売日本交響楽団チェコの実力派が自国の傑作でみせる手腕 チェコの誇る俊英指揮者ネトピルが3年ぶりに読響の指揮台へ帰ってくる。前回、2019年の読響への初登場では、スークの大曲「アスラエル交響曲」を指揮して鮮烈な印象を残した。大音量でも音は荒れることなく、響きは麗しく、みずみずしいまま。シャープな造形に加え、洗練を尽くした演奏だった。 今回、読響との共演では3種のプログラムを指揮する。そのなかの一つ、チェコ生まれの指揮者としては外せないレパートリー、ドヴォルザークの「新世界」交響曲をメインとした演奏会が東京芸術劇場で行われる。 プログラムは、マルティヌーの歌劇《ジュリエッタ》組曲という珍しい曲から始まる。もとになっているのは夢と現実が交錯するSF的要素も入ったオペラ。作曲家の没後に、ヴォストルシャークがオーケストラ組曲として編曲した。劇的なニュアンスに満ちたこの曲、劇場経験も豊かなネトピルの手

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