Interview上村文乃(チェロ)注目の俊英によるチェロの“三大B” いま最も各所で名前を見ることが多い若手チェリスト、上村文乃。人気ソリストとしての活動。バッハ・コレギウム・ジャパン等に参加し、今年のインディアナポリス国際バロック・コンクールで優勝したピリオド楽器奏者。かと思えば現代音楽の世界トップ楽団来日公演に連続で参加し、同世代のアンサンブルにも多数出演。「現代も古楽もやりたいことを深掘りしていったら自然に幅広くなっていき、すべてがつながっている感覚です」と語る。 そんな上村が、計9曲、多様な時代や国の音楽が並ぶリサイタルを横須賀で開催する。前半には「初めての方にも聴きやすい曲を」ということでボッケリーニ、ベートーヴェン、バッハの名品が並ぶ。 「チェロの何かを変えたという意味で、“チェロの三大B”はこの3人だと思っています(笑)。バッハはチェロの始まりのような基本となる存在。今回は組曲第1番で、シンプルに美しい曲だなと楽しんでもらえると嬉しいです。ベートーヴェンは聴きやすい『魔笛の主題による変奏曲』。ボッケリーニは革新的なチェロの技法、例えば左手親指のポジションといった技術を開発しましリフィンは1995年からシカゴ交響楽団に在籍する。バレンボイム時代の入団組だ。そして、トロンボーンのマイケル・マルケイとテューバのジーン・ポコーニは1989年より在籍するショルティ時代を知るレジェンド。エンリケ・クレスポの「アメリカ組曲」第1番、デリク・ブルジョワの金管五重奏のためのソナタ他、多彩なプログラムで妙技を発揮する。た。イ長調のソナタでその魅力を伝えたいです」 後半はトークも交えながら、5つの小曲とショスタコーヴィチのソナタを。まず「チェロといえばこの曲!」のサン=サーンス「白鳥」。続いて間宮芳生「田の草取り唄」と倉田高「日本人形の踊り」。「どちらも日本だと感じられる楽しい曲。西洋の音楽が入ってくる前、元々の日本の民謡がどういうものなのかに興味があります」とのこと。そして「雰囲気を変えて楽しく」というピアソラ「リベルタンゴ」(上村編)。次のペーテル・エトヴェシュの「ポリーヘの2つの詩-朗読するチェリストのための独奏曲」には思わぬ縁があったそうだ。 「言葉を話しながらチェロを弾きたいと考えて見つけた曲ですが、題材は日本の『更級日記』で、しかもその舞台は私の出身地とわかり、この曲には勝手に使命感をもっています(笑)。メインはチェリストなら憧れる曲、ショスタコーヴィチのソナタです。ソ連は資料でしか知らない世代ですが、バーゼルでロシア人横須賀芸術劇場リサイタル・シリーズ66 上村文乃 チェロ・リサイタル11/20 (日)15:00 ヨコスカ・ベイサイド・ポケット問 横須賀芸術劇場046-823-9999 https://www.yokosuka-arts.or.jp11/13(日)14:00 サントリーホール ブルーローズ(小)問 パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831 http://www.pacific-concert.co.jp他公演11/9(水) 京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ(エラート音楽事務所075-751-0617)11/10(木) 名古屋/三井住友海上しらかわホール(クラシック名古屋052-678-5310)11/11(金) 福岡/FFGホール(九州労音0952-26-2351)の先生からソ連時代の話を教えていただき、作曲者の内面の声のようなものが強く感じられるようになりました」 共演は名ピアニストの中野翔太。「演奏でも会話でも相手と調和しようとしてくださるのが心地よく、ぜひご一緒したいという気持ちになります」と人柄も含めて信頼が厚い。人同士のつながりを重視し、「コミュニケーションをとりたいから音楽をやっているとも言えます」という上村のリサイタル。チェロと彼女の魅力を深く味わえる公演となる。文:飯尾洋一取材・文:林 昌英©David Taylor71シカゴ交響楽団ブラス・クインテット名門オケが世界に誇る伝統のブラスサウンド シカゴ交響楽団といえばアメリカのトップ・オーケストラのひとつ。とりわけ金管楽器セクションの非凡さはこのオーケストラの伝統といってもよいだろう。そんな全米屈指の名手たちによって構成されるシカゴ交響楽団ブラス・クインテットが11月に来日する。 新旧の世代からなるメンバーは、この楽団の栄光の歴史をそのまま体現している。トランペットのエステバン・バタランは2019年に現在の音楽監督であるリッカルド・ムーティに招かれて首席トランペット奏者に就任している。現在の楽団の顔のひとりとして、注目度は高い。同じくトランペットのジョン・ハグストロムは1996年から、ホルンのデイヴィッド・グ
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