eぶらあぼ 2022.11月号
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第706回 定期演奏会 11/26(土)18:00 サントリーホール川崎定期演奏会 第89回 11/27(日)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 https://tokyosymphony.jp11/29(火)19:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 https://www.toppanhall.com他公演11/26(土) 兵庫県立芸術文化センター 神戸女学院小ホール(0798-68-0255)11/28(月) 武蔵野市民文化会館(小)(アレグロミュージック03-5216-7131)の音色の変化やニュアンスの豊かさが新鮮な感動を呼び起こしてくれた。フォルテピアノによる演奏は、ベートーヴェンの着想がしばしば楽器の表現力の限界に挑むものであったことを教えてくれる。 一方、1828年に作曲されたシューベルトのピアノ・ソナタ第21番では、ヨハン・ゲオルク・グレーバーのオリジナル(ウィーン式/1820年製)が用いられる。楽器の年代にして20年の差がどれほどの違いを生み出すのか、大ジョナサン・ノット ©K.Miura/TSOエ・ヴァイトハースが独奏を務める。ベルリン生まれの彼女は、ハノーファー国際コンクール、ライプツィヒのバッハ国際コンクール、クライスラー国際コンクールを制した名手。ダニエル・ゼペック、タベア・ツィンマーマン、ジャン゠ギアン・ケラスとともに組むアルカいに好奇心を刺激する。そして、シューベルトを世界的なフォルテピアノ奏者の演奏で聴ける機会は貴重だ。忘れがたい一夜になるにちがいない。アンティエ・ヴァイトハース ©Giorgia Bertazziント・カルテットの第1ヴァイオリン奏者としても知られている。ドイツ正統派のヴァイトハースが、難曲ゆえに演奏される機会が少ないがその濃密なロマンティシズムで聴き手を魅了するシューマンのヴァイオリン協奏曲をどう演奏するのか楽しみである。©Marco Borggreve文:山田治生60ジョナサン・ノット(指揮) 東京交響楽団名手が彩りを添える、ツィクルス最終回 2014年度シーズンから東京交響楽団の音楽監督を務めるジョナサン・ノットが15年7月に交響曲第5番「運命」で同楽団と始めたベートーヴェン交響曲シリーズが、今年11月の定期演奏会の交響曲第2番で遂に完結する。本来であれば、2020年4月の第2番で交響曲全曲演奏が完遂される予定であったが、コロナ禍のためにその演奏会は中止となり、今回あらためて同曲が取り上げられることになった。ノットのベートーヴェン演奏は、古楽的なアプローチをも取り入れた即興性や自由度の高さが特徴的である。9シーズン目を迎え、まさに阿吽の呼吸のノット&東響のコンビが、若きベートーヴェンの情熱あふれる交響曲第2番でどのような境地を聴かせてくれるのか、期待せずにはいられない。 コンサート前半では、シューマンの「マンフレッド」序曲とヴァイオリン協奏曲が演奏され、協奏曲ではアンティロナルド・ブラウティハム(フォルテピアノ)楽聖とシューベルトの傑作を2台のピリオド楽器で聴ける贅沢な一夜文:飯尾洋一 オランダが生んだフォルテピアノの名手、ロナルド・ブラウティハムが、ワクワクするようなプログラムを携えてトッパンホールに帰ってくる。曲はベートーヴェンの「エロイカの主題による変奏曲とフーガ」とピアノ・ソナタ第23番「熱情」、そしてシューベルトの生涯最後のソナタであるピアノ・ソナタ第21番。ベートーヴェンの「熱情」にしてもシューベルトの第21番にしても、それぞれリサイタルのメインプログラムになりうる決定的な傑作であり、それだけでも聴きごたえは十分。加えて、今回はブラウティハムが2種類のフォルテピアノを弾き分ける。 ベートーヴェン作品で使用されるのは、ポール・マクナルティ製作による1800年頃のアントン・ヴァルター・モデル。過去にブラウティハムがトッパンホールでベートーヴェンを弾いた際にもこの楽器が用いられていたと記憶するが、現代のピアノにはない音域ごと

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