eぶらあぼ 2022.11月号
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越しで日本での共演が実現する。 演目はオール・ロシア。辻井とのピアノ協奏曲は得意のチャイコフスキー第1番とラフマニノフ第3番。メインはチャイコフスキー第6番「悲愴」とショスタコーヴィチ第8番、同国で生まれた2つの偉大な傑作交響曲。いずれも深たりしたテンポ、深い思考に根差した解釈、哲学的な表現などいずれも特有の世界で、これまで聴いた演奏とは異なる趣を備え、強烈な存在感を放つ。 「いま、とても精神が自由で、新たな作品との邂逅が楽しくてたまらない。その精神の充実を文章でも表現したい。これまで戯曲や小説などを綴り、舞台では作曲家になったつもりで演奏してきましたが、多岐に渡る表現は自分の魂の欲求で、ごく自然なものです」2023.5/22(月)、5/26(金)各日19:00 サントリーホール5/28(日)14:00 所沢市民文化センター ミューズ アークホール 10/29(土)発売問 チケットスペース03-3234-9999 https://www.ints.co.jp※全国ツアー、プログラムの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。11/29(火)19:00 王子ホール問 王子ホールチケットセンター03-3567-9990 https://www.ojihall.jpヴァシリー・ペトレンコ ©Svetlana Tarlova アファナシエフのピアノは雄弁でありながら、随所に静寂が宿る。作品に新たな息吹を吹き込む斬新な演奏は心奥に深く刻み込まれる。辻井伸行 ©Hori Yujiく重い内容をもち、前者は人間の暗い感情と情熱が描かれ、大戦中の大作である後者では“巨大な力”とそれを前にした人間の悲劇が感じられよう。ウクライナ侵攻を批判して母国の楽団のポストを辞任したマエストロが聴かせる母国の名作。心して受け止めたい。文:林 昌英文:伊熊よし子56ヴァシリー・ペトレンコ(指揮) ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団いまこそ胸に響く英国名門オケのオール・ロシア・プロ 来年5月、ヴァシリー・ペトレンコ指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の日本ツアーが行われる。6都市8公演が予定され、ピアノは辻井伸行。全国各地で大きな話題となるはずだが、一部は早くも10月にチケット発売開始とのことで、争奪戦が予想される。 ロイヤル・フィルはロンドンを拠点として、「ロイヤル」と冠することを正式に許可された名門楽団で、多数の録音でもよく知られている。2021年からヴァシリー・ペトレンコが音楽監督に就任、このコンビでの初来日となる。ペトレンコは1976年生まれ、日本の楽団の客演を含め各地で広く活躍中のロシア人指揮者。やはり「ロイヤル」を冠したロイヤル・リヴァプール・フィルの首席指揮者を長く務めてきて、彼の熱くも洗練された音楽の魅力を体験した方も多いだろう。辻井とはこれまでも共演を重ねてきたが、20年の彼との日本公演(そのときはリヴァプールの楽団)が中止になり、3年ヴァレリー・アファナシエフ(ピアノ) TIME 第2年(3回シリーズ)作品の真意に迫り、新たな魅力に触れる時 ヴァレリー・アファナシエフは、完全に作曲家と一体化した時点で演奏を世に送り出す。 「私は聴いてくださる方の心の奥深くへ届く音楽を演奏したいのです。表面的な演奏や、自分の存在を前面に押し出す演奏は好きではありません。作曲家に敬意を表し、作品の真意に迫り、その魅力を聴き手に届けたいのです」 長年シューベルトを弾き続け、その個性的で濃密な自己表現を込めた演奏は聴き手に強い印象をもたらしているが、今回の「TIME 第2年」にはブラームスが加わった。 「私はシューベルトやブラームスの作品に潜む孤独と沈黙を愛しています。彼らはプライベートな王国を築いた。その王国に入り込み、そこで感じた私の心の叫びを演奏に託したい」 彼の演奏は聴き手を幻想の世界へといざない、すべては静謐で内省的なモノローグのような音楽と化す。ゆっ

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