第168回 リクライニング・コンサート 森田啓佑 チェロ・リサイタル12/14(水)15:00 19:30 Hakuju Hall問 Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 https://hakujuhall.jp11/13(日)15:00 神戸文化ホール問 神戸市民文化振興財団078-361-7241 https://www.kobe-ensou.jp88Interview森田啓佑(チェロ)若き俊英の熱演をゆったりと愉しむ 「リラックスして聴くのは音楽の醍醐味のひとつ。発想が面白いし、音楽の魅力をそのまま具現化したようなコンサートですね。寝ていただいてもOKです」 12月、Hakuju Hall恒例の「リクライニング・コンサート」に登場する。休憩なしの1時間。前半がベートーヴェンとシューマン、後半にファリャ。 試練と向き合い、打ち勝って成長するベートーヴェンの生き方に惹かれるという。 「それがそのまま曲に出ている。音楽に人生が凝縮されていることに一番共感します。『《魔笛》の主題による7つの変奏曲』は、もとがオペラなので、いろんなキャラクターがどんどん変わっていきます。留学してドイツ語を話すようになって、音の出し方や抜き方が変わったかなと感じます」 シューマンの「幻想小曲集 op.73」は初挑戦。 「クラリネットが原曲なので、やっぱり弓じゃない感じがするんです。居心地悪くならずに、どう繋げるか。シューマンは心の葛藤が曲に表れていて、『これはダメだ。』『あ、こっちもダメ。』と、すぐに『。』が付いて長い文章にならない。でも意味は繋がっている。それがシューマンの魅力のひとつだと思います」 ファリャは「7つのスペイン民謡」(マレシャル編)と「火祭りの踊り」。スペイン音楽は自分にフィットすると感じている。 「自分の性格は全然スペインっぽくないんですけど(笑)。あのリズムがすごく親しく感じられる。心が落ち着くような気がします」 25歳。世界的にも高水準の日本のチェロ界を牽引する若手世代の一人だ。佐藤晴真や水野優也とは同学年。 「同級生に彼らがいるのは本当に恵まれている。刺激をたくさんもらっています。水野は高校の時から同じクラスで出席番号が僕のひとつ前。お互い留学して、会うのは前より減りましたが、たまに近況を聞きあったりしています」 チェロは3歳から。しかし中学までは音楽よりもサッカーに打ち込んでいた。都大会準優勝チームの副キャプテンだったというから結構なレベルだ。ポジションはセンターバック。 「最近は留学しているドイツのザールブリュッケンで、週1回ぐらい、いろんな国の仲間たちと楽しみながらやってます。ドイツ人は身体が大きいから、W杯ではどうやったら勝てるか」 と、サッカー熱もまだ冷めない模様。もしかしたら日本代表は有力な戦力を失ったかもしれないが、世界は才能豊かなチェリストを得た。飾らず率直な、しかし熱い話しぶりが、そのまま音や音楽にも表れている大器。聴き逃せない。共演のピアノに津田裕也。佐藤正浩取材・文:宮本 明文:横原千史©Eiji Yamamoto中村恵理神戸市室内管弦楽団 神戸市混声合唱団 合同定期演奏会プーランク讃「スターバト・マーテル」「グローリア」年に一度の共演機会にプーランクの2大宗教曲を生粋のパリジャンらしい上品でユー 神戸市混声合唱団と神戸市室内管弦楽団の恒例の合同演奏会。今年はプーモアに溢れたセンスや、大衆性を備えたメロディはもっともプーランクらランクの教会音楽「スターバト・マーテしい作品」と強調する。ル」と「グローリア」を取り上げる。作曲 ソプラノ独唱の中村恵理は、バイ者晩年の代表作オペラ《カルメル会修エルン国立歌劇場で数多くの主役道女の対話》とフルート・ソナタの前後に作曲された円熟の筆による傑作であを歌い、今や世界中のオペラハウスで引っ張りだこである。彼女が「スる。指揮を執る神戸市混声合唱団音楽監督の佐藤正浩は、パリ・シャトレ座の副ターバト・マーテル」の静かな抒情や「グローリア」末尾の神秘的なアー指揮者でフランスオペラのスペシャリスメンをどのように歌うのか楽しみでトであり、プーランクをこよなく愛してある。プーランクの2大作を一度にいる。今回のプログラムについて、「宗聴けるのは滅多になく、上演が待ち教音楽でありながら、奇想天外な発想遠しい。で聴衆を楽しませることを忘れない。
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