第960回 定期演奏会Cシリーズ10/16(日)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 都響ガイド0570-056-057 https://www.tmso.or.jp10/27(木)19:00 王子ホール問 王子ホールチケットセンター03-3567-9990 https://www.ojihall.jp85の響きに神経を張り詰め、究極まで磨き上げる。作品の内奥に切り込み、深みを目指す。その演奏から描き出されるのは音の絵巻物である。彼の「ゴイェスカス」に懸ける情熱がほとばしるとき、私たちはゴヤの世界へと運ばれる。その前にラヴェルの技巧と表現が凝縮された「クープランの墓」が置かれている。ここでもパイクの個性的なピアニズムが光る。ラヴェルは音の魔術師であり、透徹した幻想的なピアノの音が特徴。クンウー・パイクが異次元の世界へといざない、音の魔術に酔わせてくれるに違いない。トーマス・ダウスゴー ©Thomas Grøndahl シューマンのチェロ協奏曲での共演は、持ち前の彫りの深い表現により磨きをかけた宮田大。ダウスゴーとはエルガーの協奏曲のレコーディングもあり、息の合ったコラボレーションが期待できるはずだ。文:鈴木淳史文:伊熊よし子©SeongJin Oh宮田 大 そして、デンマークでもっとも有名なシンフォニー、ニールセンの交響曲第4番「不滅」。この曲のもつ底知れぬテンションの高さを引き出すアグレッシヴな演奏が聴けるかと、公演日が今から待ち遠しい。トーマス・ダウスゴー(指揮) 東京都交響楽団自国の傑作で彩る7年ぶりの共演 ダウスゴーが都響を指揮した、サーリアホのクラリネット協奏曲とニールセンの交響曲第3番は、じつに鮮烈だった。デンマークを代表する指揮者の明晰かつシャープな解釈。そして、オーケストラが見事なアンサンブルでそれに応え、作品の興趣を存分に引き出したのだった。終演後の客席の興奮状態も忘れられない。 あれからすでに7年。ようやくダウスゴーが都響の指揮台に帰ってくる。今回は、指揮者のお国もの、デンマークの交響曲が2曲入ったプログラムだ。 時代を先取りした作曲家としてカルト的な人気も高いランゴー。彼が20代半ばで書いた交響曲第4番「落葉」は、単一楽章ながら、気分が目まぐるしく変化する。後期ロマン派ならではの華麗さも聴きどころだ。ダウスゴーは、ランゴーの全16曲の交響曲を録音した第一人者。ぐっと引き締まった流れのなか、とりどりの音色を散りばめてくれるに違いない。クンウー・パイク(ピアノ) 〜ゴイェスカス〜深遠なるゴヤの世界をピアノで描く 真のピアノ好きの心をとらえて離さないクンウー・パイクは、作品の新たな面を披露し、聴き手に驚きと悦びと発見を促す。曲のなかにドラマを見出し、絵画や詩や戯曲のように構築し、聴衆を作品へと近づける。 そんな彼がグラナドスの「ゴイェスカス」を演奏する。18世紀末から19世紀初頭のマドリードへの深い愛を音で描き出したこの曲集は、ゴヤのキャンバスに描かれたような、粋な女マハと伊達男マホが闊歩していた時代を音の絵巻物のように綴った傑作だ。グラナドスはゴヤの絵に魅了され、画家を熱愛し、その精神のとりことなった。ゴヤの絵のロマンティックな側面のみならず、その奥深いところに宿る「悲劇」「宿命」「死」の匂いをかぎとり、絵から得た印象を巧みに音楽に託していった。 これこそ、クンウー・パイクの独壇場の作品ではないだろうか。一つひとつ
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