eぶらあぼ 2022.10月号
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問 浜松市文化振興財団053-451-1114 https://www.hcf.or.jp※各公演、発売日の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。84左より:アンサンブル・ウィーン=ベルリン ©青柳 聡/ジャン=ギアン・ケラス ©Artūrs Kondrāts/アレクサンダー・ガヴリリュク ©Marco Borggreve/クァルテット・インテグラ 浜松市の文化拠点、アクトシティ浜松には2022年度後半(9月~23年3月)も世界的名手や国内の新進気鋭のアーティストが集結する。ピアノソロから室内楽、オーケストラまで、クラシック音楽の最先端を聴ける主催公演が目白押しだ。 世界の名演奏家を招聘する看板シリーズ「アクト・プレミアム・シリーズ」では、まず9月28日のアンサンブル・ウィーン゠ベルリンに注目したい。ウィーン・フィルとベルリン・フィル、ウィーン響の卓越した技巧を持つ管楽器奏者5人(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン)から成る。フルートのカール゠ハインツ・シュッツ(ウィーン・フィル)やホルンのシュテファン・ドール(ベルリン・フィル)らによる世界最高峰のアンサンブルを楽しめる。 12月20日はチェロの奇才、ジャン゠ギアン・ケラスによる巧緻な弦の響きを味わいたい。アンサンブル・アンテルコンタンポランやアルカント弦楽四重奏団で現代曲から古典までを驚くほど精巧な演奏で聴かせてきたケラスだが、彼の個性が浮き彫りになる無伴奏曲も聴き逃せない。コダーイの無伴奏チェロ・ソナタをはじめ名演の予感がする。さらに浜松在住の横坂源と優れた響きのホールで名手たちの上質な音楽を18世紀フランスの作曲家バリエールによる2つのチェロのためのソナタ ト長調を共演する。チェロ・デュオの世界も興味深い。 翌23年2月16日には、ウクライナ出身で2000年の第4回浜松国際ピアノコンクール優勝者、アレクサンダー・ガヴリリュクが公演する。聴き手の心に訴える高貴な詩魂は評価が高い。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第14番「月光」、リスト「コンソレーション第3番」などを弾く。 若手アーティストを紹介する「アクト・ニューアーティスト・シリーズ」は、ステージと客席が平らな音楽工房ホールで開かれ、演奏を間近で聴ける。12月4日のトリオ・クッフォはヴァイオリンとクラリネット、ピアノによるユニークな三重奏団だ。9月25日はピアノの千葉遥一郎、23年1月7日にはヴァイオリンの外村理紗が公演する。 23年2月12日に登場するバルトーク国際コンクール弦楽四重奏部門第1位(2021年)のクァルテット・インテグラも必聴だ。鋭い感性による一体性の高い演奏が評価されている。新時代の幕開けを告げる四重奏をベートーフレッシュな才能が躍動左より:ジャン・チャクムル ©三浦興一/イ・ヒョク/横坂 源 ©Takashi Okamoto/仲道郁代 ©Tomoko Hidakiヴェン、シューベルト、ラヴェルの作品で確かめたい。ゆかりのアーティストたちも 当地ならではの企画が12月18日の中ホールでの「浜コン入賞者が贈る2台ピアノの世界」。今田篤と梅田智也がチャイコフスキーとラフマニノフの組曲、ジャン・チャクムルとイ・ヒョクはベートーヴェン(リスト編)の交響曲第9番を共演する。11月23日の「横坂源チェロ・リサイタル」では、彼が長年取り組んできたドビュッシー、ショスタコーヴィチ、ラフマニノフの三大ソナタを一気に聴ける。 円熟味を増すピアニスト、仲道郁代の活躍も目立つ。10月16日の「仲道郁代 ピアノ・リサイタル」は、仲道の演奏活動40周年とベートーヴェンの没後200年が重なる2027年に向けた「The Road to 2027 プロジェクト in 浜松」の第6弾。「前奏曲 -永遠への兆し-」と題し、ドビュッシーとラフマニノフの前奏曲集を弾く。また、23年3月18日には仲道が小林研一郎指揮読売日本交響楽団と中ホールでグリーグのピアノ協奏曲を演奏する。人気アーティストの共演は話題を呼びそうだ。登場文:池上輝彦アクトシティ浜松 2022年度ラインナップ後半の聴きどころ世界の名演奏家、新時代告げる若手アーティストに期待

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