eぶらあぼ 2022.10月号
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10/17(月)19:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 https://www.toppanhall.com58エスポワール スペシャル 16 アイレン・プリッチン(ヴァイオリン)あのアンコールで日本を沸かせたプリッチン再来! ワインはどうやらジョージアが発祥の地らしいが、それが世界中で生産されるようになったのは、新しい世代がぶどうの生産から発酵、熟成まで、次々と斬新な発想を積み重ね、実験をし、それがひとつの体系となって、それぞれの土地に根付かせていったからに違いない。実は、クルレンツィス&ムジカエテルナの演奏を聴いた時にそんなことを思っていた。彼らの最初の来日公演で、実演を聴いた音楽ファンの話題を独占したのは、オール・チャイコフスキー・プログラムの前半終了後、アンコールとしてチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲が演奏され、そのソリストをゲスト・コンサートマスターであったアイレン・プリッチンが務めたことだった。彼の華麗極まる音色に驚いた人も多かったに違いない。 そのプリッチンが日本で行う初リサイタル。トッパンホールの「エスポワール スペシャル」で、ピアノの北村 前半のプログラムも対照的。太田はベートーヴェンの「エグモント」序曲を配し、「第九」に繋がる音楽で直球勝負を挑む。凝縮度の高いこの作品の劇的な表現も楽しみだ。対するコバケンの公演では、「トッカータとフーガ ニ短調」などJ.S.バッハの3つのオルガ太田 弦 指揮12/17(土)17:00 横浜みなとみらいホール 12/18(日)14:00 サントリーホール小林研一郎 指揮12/22(木)19:00 サントリーホール 12/24(土)14:30 横浜みなとみらいホール12/23(金)19:00、12/25(日)14:00、12/27(火)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 https://japanphil.or.jp※演目とソリストの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。朋幹を迎えて、メトネル、ヤナーチェク、ラヴェル、エネスクという驚くべきプログラムを組んだ。「極めて近い時代に書かれた作品群で、その頃の世界がどうであったかを実感させてくれる」とプリッチンはコメントしている。北村は「エネスクの『第3番』という、触太田 弦 ©ai uedaアイレン・プリッチン ©Anna Chobotovaン曲が、多彩な活躍を続ける名手・石丸由佳の独奏で披露される。こちらは「第九」とは違ったテイストが魅力。また「第九」のソリストも異なっているので興味はさらに増す。20代の俊英、片や80代の大ベテラン…両方の公演に足を運ぶのも一興だろう。れるのも躊躇うほどの恐ろしい名作に初挑戦するのに、これほど素晴らしい機会があるでしょうか」と語る。まさにその通り。これほどの素晴らしい機会は待っていても訪れないものである。新しい時代の息吹を目の当たりにしたい。小林研一郎 ©山本倫子北村朋幹 ©TAKA MAYUMI文:柴田克彦文:片桐卓也日本フィルハーモニー交響楽団 第九特別演奏会2022興趣異なる対照的な「第九」公演 年末恒例の「第九」も、コロナ禍によって貴重な公演となった。特にアマチュア等の有志が集う合唱団の参加は、“当たり前”だった以前と違って“かけがえのない機会”と化している。そうした中、毎年多くの聴衆を集める日本フィルの「第九」が、3つの異なる合唱団とともに行われるのは嬉しい限りだ。 今年の指揮は太田弦と小林研一郎。“炎のマエストロ”コバケンの「第九」は、定番とも言える演奏だし、熱く燃えた迫真の表現が、類い稀な高揚感と深い感動を与えてくれるのは間違いない。そこで注目したいのが太田弦だ。1994年生まれの彼は、東京藝大で学び、2015年の東京国際音楽コンクール〈指揮〉で2位ならびに聴衆賞を受賞。これまでに読響、東響、東京フィルほか多数の著名楽団を指揮し、23年4月から仙台フィルの指揮者に就任する。「第九」の指揮も19~22年の大阪交響楽団正指揮者時代に経験しており、才気煥発なタクトでいかなる「第九」を聴かせてくれるのか? 期待は大きい。

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