eぶらあぼ 2022.10月号
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文:柴田克彦 「クラシック・キャラバン」は、コロナ禍を乗り越えるべく、一般社団法人日本クラシック音楽事業協会が文化庁の支援を受けて行う公演プロジェクト。昨年に続く今年は、9月から12月にかけて全国13地域で21公演が開催される。公演は、特別編成の「スーパー・クラシック・オーケストラ」が出演する大ホール企画「華麗なるガラ・コンサート」と、アンサンブル主体の小ホール企画「煌めくガラ・コンサート」の2本立て。前者が9回、後者が12回行われ、総勢約250名の演奏家が魅力あるプログラムを展開する。昨年と異なるのは、各公演の主催にマネジメント事務所が加わり、各社がテーマを設けてコンセプトを明確にしたこと。つまり毎回が独自の内容となっている。今回はそのうち、10月の5公演をご紹介しよう。 まず「華麗なるガラ・コンサート」は、10月10日に東京オペラシティ コンサートホール、22日に大阪のザ・シンフォニーホールでの2公演。むろんここは、腕利き揃いのオーケストラが奏でる迫力十分の舞台が魅力となる。しかも両公演ともオペラの楽曲が主体なので、この上なく華やかだ。 「ヴェルディ生誕210周年記念」と題された東京公演は特にそう。藤岡幸夫が指揮し、ソプラノの迫田美帆、メゾソプラノの清水華澄、テノールの笛田博昭、バリトンの須藤慎吾に、藤原歌劇団合唱部と東京二期会合唱団が加わって、ヴェルディの《椿姫》《運命の力》《アイーダ》《ファルスタッフ》《ナブッコ》のアリア、重唱曲、合唱曲を聴かせる。このほか、サン゠サーンス、ドヴォルザークの有名アリアや、ヴァイオリンの奥村愛による「カルメン幻想曲」、岡田将によるラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の第3楽章もあるし、最後はベートーヴェン「第九」の第4楽章で大団円。藤岡の熱い指揮も相まって、文字通りの“華麗な”午後となる。 大阪公演はさらに多彩。沼尻竜典の指揮で、前半は協奏曲、後半はオペラの美味しい部分が披露される。クラリネットの赤坂達三によるモーツァルト、チェロの笹沼樹によるドヴォルザーク、ヴァイオリンの南紫音によるメンデルスゾーンの各協奏曲の第1楽章、ピアノの長富彩によるショパンの作品と、32名曲&名演奏家がズラリと並ぶ、華麗な10月の5公演

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