eぶらあぼ 2022.9月号
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第250回 土曜マチネーシリーズ 9/24(土)第250回 日曜マチネーシリーズ 9/25(日)各日14:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 https://yomikyo.or.jp9/3(土)18:00 東京文化会館(小)問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 https://www.t-bunka.jp謙゠デイヴィッド・マズア(指揮) 東京文化会館チェンバーオーケストラマズア家ゆかりのメンデルスゾーンをメインに 東京文化会館が主催する東京音楽コンクールは、優れた奏者を輩出してまもなく20年。初期の入賞者たちはいまや音楽界の第一線を担っている。そうしたメンバーを中心に、うでっこきを揃えたのが「東京文化会館チェンバーオーケストラ」だ。今年も、第4回の入賞者で現在、東京フィルのコンマスを務める依田真宣をトップに、精鋭31名が集う。ソリストとして実績を積んでいる奏者や在京オケの首席クラスも多数参画しており、これで小ホールの公演というのだから、大迫力で贅沢なものとなろう。 指揮に謙゠デイヴィッド・マズアを迎えているのも今回の見どころだ。謙゠デイヴィッドは大指揮者クルト・マズアを父、日本人ソプラノ歌手を母に持つサラブレッド。ゲヴァントハウス管からニューヨーク・フィルへという父のキャリアに伴って、少年時代までをライプツィヒで過ごしアメリカで学んだ国際派だ。62奏でも、金管をしっかりコントロールして柔らかな音色を際立たせていた。今回メインとなるリムスキー=コルサコフの「シェエラザード」では、力強くも、繊細な表情を聴かせてくれるだろう(コンマスは昨年就任の林悠介)。謙゠デイヴィッド・マズア ©Adam DeTour現在はアメリカのオーケストラにポストを持ちつつ、世界中で活躍している。若手の育成にも熱心で、今年7月にはPMFに招かれ、オープニング・コンサートでフレッシュな演奏を引き出した。 今回はプログラミングにもこだわりが感じられる。プロコフィエフ、シベリウスに続いて、アメリカの作曲家コーセバスティアン・ヴァイグレ ©読響 ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」で共演するのは、シベリア生まれの若き才能、パヴェル・コレスニコフ。持ち前のクリアなタッチを生かし、この難曲を悠々と弾ききってくれるはずだ。パヴェル・コレスニコフ ©Eva Vermandel依田真宣 ©大窪道治ルリッジ゠テイラー・パーキンソンの作品が光彩を放つ。後半は生まれ故郷、ライプツィヒゆかりの作曲家メンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」。PMFで「宗教改革」を指揮したのに続いての選曲で、深いシンパシーを持っているのだろう。フレッシュなコンサートになりそうだ。文:鈴木淳史文:江藤光紀セバスティアン・ヴァイグレ(指揮) 読売日本交響楽団初秋に贈る絢爛豪華なロシア・プロの世界 読響の常任指揮者となった2019年に、ヴァイグレはインタビューに答え、このオーケストラと取り組みたいレパートリーの三本柱について語っていた。まず王道となるドイツ・オーストリアの作品。自らの劇場での長いキャリアが生きるオペラ。そしてロシア作品だ。ロシアとも縁深い旧東ドイツ出身ということもあり、かねてよりスラヴ圏の音楽に心惹かれていたという。オーケストラとの意思疎通もスムーズになり、よりヴァイグレの持ち味が生かせるようになった就任4年目のシーズン。満を持してロシア作品を揃えたプログラムを披露する。 9月の土曜・日曜マチネーシリーズでの3作品は、オーケストレーションの妙味が味わえるものばかり。ヴァイグレと読響のコンビは、腰をじっくりと据えたバランスの上に、快活な運動とともに細やかに音の綾を描いていく。鮮やかな音色も魅力の一つになりつつある。6月定期公演のブルックナー演

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