eぶらあぼ 2022.9月号
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第149回 東京オペラシティ定期シリーズ9/15(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール第974回 サントリー定期シリーズ9/16(金)19:00 サントリーホール第975回 オーチャード定期演奏会9/19(月・祝)15:00 Bunkamura オーチャードホール問 東京フィルチケットサービス03-5353-9522 https://www.tpo.or.jp第25篇〈トッパンホール22周年 バースデーコンサート〉 10/1(土)18:00 第26篇 10/3(月)19:00  第27篇 10/5(水)19:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 https://www.toppanhall.com1夜は「白鳥の歌」より、レルシュタープとハイネの詩による13曲を自由な曲順で歌い上げ、ベートーヴェンの連作歌曲やブラームスの名歌を挟むステージ。端正な古典派の響きからロマン派の濃密なメロディまで、プレガルディエンが作り上げる新境地に期待したい。 続いて第2夜は「水車屋の美しい娘」。第3夜は、意外にも、トッパンホールでは初めてという「冬の旅」。良き僚友のミ■■■46曲の森〉〜詩と音楽 Gedichte und Musik〜 第25/26/27篇〈歌クリストフ・プレガルディエン(テノール) & ミヒャエル・ゲース(ピアノ)シューベルト三大歌曲名手が拓く「シューベルト三大歌曲」の新境地  「上善如水」と称する美酒があるように、音楽の世界でも、雑味を取り去った歌いぶりは、水流のごとき清らかさを湛えるもの。筆者に「水の浄化」を連想させる歌といえば、まずはクリストフ・プレガルディエンのドイツ・リートになる。オペラの強烈な自己主張に頭がぐらついたとき、この名テノールの歌声に浸り、心の平静を取り戻すのだ。 禁欲的ながら変な躊躇いはなく、譜面の示す方向にひたすら進むプレガルディエンは、生国ドイツだけでなく、日本の聴衆にもこよなく愛されている。自分の個性よりも曲の個性、声の力よりも言葉&旋律の力を重んじる彼の人気は、洋の東西を問わず驚くほどに高い。 来る10月、そのプレガルディエンが東京で歌曲の夕べを連続開催。トッパンホールの人気シリーズ「歌曲(リート)の森」の一環で、シューベルトの3大歌曲集をまとめて披露し、早世の作曲家の「歌の命」を追究するという。第の強い音楽を目一杯に響かせる。明晰な声部処理が期待できるスケルツォ、アダージェットでの身を焦がすようなカンタービレ、そして終楽章でのホールを揺るがす爆発力。マーラーの交響曲のなかでも、もっとも彼の持ち味が発揮されるであろう、待望の第5番だ。 首席指揮者との定期演奏会は、今期はこのプログラムのみ。バッティストーニと東京フィルだけが作り出すことのできる、めくるめく世界を堪能できることは間違いない。アンドレア・バッティストーニ ©Takafumi Ueno左:ミヒャエル・ゲース 右:クリストフ・プレガルディエンヒャエル・ゲースのピアノと併せて、音楽の揺らぎに身を委ねるひとときをどうぞご堪能あれ。文:岸 純信(オペラ研究家)文:鈴木淳史アンドレア・バッティストーニ(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団待望のマーラー5番と自身編曲「ダンテ・ソナタ」を楽団初披露 マーラーの交響曲第5番と一緒に演奏する作品を選ぶのは、意外と容易ではない。第1番や第4番のように、ロマン派の小品や協奏曲と相性が特別いいわけでもない。第9番と新ウィーン楽派の音楽と組み合わせるといった、黄金パターンだってない。 そこで、バッティストーニは飛び道具を用意した。プログラム前半で、リストのピアノ曲「ダンテを読んで」を自らのオーケストラ編曲で披露するというのだ。この作品は、地獄から天国の高みへとダンテの旅を描く重厚な音楽。マーラーの交響曲第5番での、暗闇からのたうち回った末、浄化されて歓喜に至るという構成と通じるところがある。さすがは才人指揮者。前半と後半とで対称となる、なかなか気が効いたプログラムではないか。 そして、バッティストーニと東京フィルのマーラーといえば、もはや鉄板。エネルギッシュな弾力にあふれた、芯

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