eぶらあぼ 2022.9月号
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9/28(水)18:30 日経ホール問 日経公演事務局03-5227-4227 https://stage.exhn.jp第526回日経ミューズサロン タカーチ弦楽四重奏団半世紀近くの歴史を経てアップデートし続けるサウンド タカーチ弦楽四重奏団が3年ぶりの来日を果たす。1975年ハンガリーで結成、現在はアメリカを拠点とする、屈指の歴史と実力を誇るクァルテットで、世界中で根強い人気を誇っている。活動半世紀の節目も視野に入るが、チェロのアンドラーシュ・フェイェールは結成以来不動の存在として現在も支え続け、93年から第1ヴァイオリンを務めるエドワード・ドゥシンベルは唯一無二の伸びやかな美音でリードしている。2020年にヴィオラが交代してからは初来日であり、47年目の“新生”タ44Interview横川晴児(クラリネット/軽井沢国際音楽祭音楽監督)20周年にふさわしい贅沢な4日間 わが国有数の避暑地に軽井沢国際音楽祭が誕生して20年。今年は9月2日から5日までの4日間にわたって室内楽演奏会2公演とオーケストラ演奏会、ジャズ・コンサートの4公演が開かれる。音楽祭を牽引してきた横川晴児音楽監督(元NHK交響楽団首席クラリネット奏者)がこれまでの歩みを振り返った。 「2002年創設となっていますが、実際にはその少し前から私の兄が経営するホテルそよかぜでロビー・コンサートをしていたのが始まりです。2002年にFM軽井沢の開局1周年を記念し、プリンスホテルを会場に、ヴァイオリンの堀正文さん(元N響コンサートマスター)にコンチェルトを弾いていただいたのが公式第1回です。2005年から軽井沢大賀ホールで開催できるようになりました。ただ、行政の支援を受けていないため毎回スポンサー探しが大変で、持ち出しのあった年も事実上ありました」 音楽祭としての理念は? 「最初はN響のメンバーたちによる夏の音楽祭にできたらと考えました。海外オーケストラには夏の音楽祭を持っているところが多いのに当時はN響にはなかったからです。しかしそのうちに、N響以外の演奏家や外国人演奏家も出演してくださるようになり、層が広がりましカーチを体験できる。 日経ミューズサロンでは、ハイドン第82番「雲が行くまで待とう」、ラヴェル、シューベルト第14番「死と乙女」の3曲が並び、弦楽四重奏曲の精髄ともいえる名作群を堪能できる。なかでもいまの彼らのラヴェルは、どんな演奏になるか予想がつかない。ここでしか味わえない体験になりそうで楽しみだし、「死と乙女」はタカーチが受け継ぐ“弦楽四重奏の伝統”の重みを知る時間になるだろう。た。一貫したモットーは、ジャンルの垣根を取り払ったバリアフリーです。ことに、日本在住の優れた外国人演奏家には積極的に演奏機会を提供したいですし、学生やレベルの高いアマチュアもプロの中に入ってもらって音楽経験を積んでほしいというのが願いです」 今年の聴きどころをきいた。 「初日の『室内楽コンサート Ⅰ』では、ブラームスのクラリネット三重奏曲、フランクのヴァイオリン・ソナタ、ドヴォルザークのピアノ三重奏曲をとりあげますが、ピアノのミロスラフ・セケラさんには3日目の『フェスティバル・オーケストラ・コンサート』でもモーツァルトのピアノ協奏曲第23番を演奏していただきます。実は彼、1984年の映画『アマデウス』で子ども時代のモーツァルトとしてピアノとヴァイオリンを弾いた少年です。2日目の『室内楽コンサート Ⅱ』には、通常の室内楽とオーケストラとの中間規模の、マルティヌーの『調理場のレヴュー』など、滅多に演奏されない曲を入れました。フェスティバル・オーケ軽井沢国際音楽祭20229/2(金)~9/5(月) 軽井沢大賀ホール、軽井沢ユニオンチャーチ問 軽井沢国際音楽祭実行委員会050-3561-5718 https://kimf.net※各公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。ストラ・コンサートには長く出演してくださっている仲間が集まって、指揮者なしでベートーヴェン『田園』を演奏します。最終日の『Happy JAZZ Hour 2022』は軽井沢ユニオンチャーチが会場。ジャズ演奏家の中にクラシック演奏家が飛び入り参加するのが聴きどころです。ぜひ、標高1000メートルの地の音楽祭にいらしてください」取材・文:萩谷由喜子文:林 昌英

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