eぶらあぼ 2022.9月号
44/157

9/8(木)19:00 サントリーホール(完売)9/19(月・祝)15:00 神奈川県民ホール問 サンライズプロモーション東京0570-00-3337https://sunrisetokyo.com https://tempoprimo.co.jp※ツアーの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。4111/6(日)14:00 紀尾井ホール問 紀尾井ホールウェブチケット webticket@kioi-hall.or.jp https://kioihall.jpその後、徐々にモダンのオーケストラにも指揮者として客演するようになり、2019年、英国の名門スコットランド室内管が18年の初共演後、彼を首席指揮者に任命したことで話題を呼んだ。 そんな多彩でイマジネーションにあふれる彼が、モーツァルトの幻想曲とソナタなどをチェンバロ、フォルテピアノ、ピアノの3台で弾き分けるリサイタルを紀尾井ホールで開く。モーツァルトが愛したヴァルターの繊細な音色のフォルテピアノ、幼い頃に親しんだであろうジャーマン・モデルのチェンバロ、そして現代のスタインウェマリン・オルソップ ©Grant Leightonを堪能できる楽曲が用意されている。 そして注目すべきは、ショパンのピアノ協奏曲第1番のソリスト。先日チャンネル登録者数が100万人を超えたYouTuber「かてぃん」として幅広い層から人気を集める、角野隼斗を迎える。昨年、ワルシャワで開催されたショパイというタッチも機構も異なる楽器でどのようにモーツァルトを響かせるのか。ヨーロッパでもなかなか聴けない好企画をぜひお聴き逃しなく!角野隼斗 ©@ogata_photoン国際ピアノコンクールに出場。セミファイナリストとなるも本選進出が叶わず、披露されなかったレパートリーを、ショパンの祖国のオーケストラと共演することになる。オルソップとどんなやりとりを繰り広げるのかも聴きもの。見どころが目白押しの公演だ。文:高坂はる香文:後藤菜穂子©Andrej Grilcマリン・オルソップ(指揮) ポーランド国立放送交響楽団名門オーケストラと新時代ピアニストとの邂逅 ポーランド南部の工業都市、カトヴィツェを本拠地とする、ポーランド国立放送交響楽団。1935年にワルシャワで創設され、第二次世界大戦中の活動休止を越えてカトヴィツェで再結成された歴史を持つ名門オーケストラだが、来日は実に23年ぶりとなる。 今回、全国11ヵ所で行われるツアーでタクトをとるのは、ニューヨーク生まれ、バーンスタインの弟子の一人であり、女性指揮者のパイオニアである、マリン・オルソップ。女性に指揮者は無理だと言われ続けながら、道を切り拓いた彼女の人生を描くドキュメンタリー映画『The Conductor』が昨年公開されたことも話題だ。 プログラムは、ポーランドの女性作曲家、グラジナ・バツェヴィチの序曲で幕を開け、後半はドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」、またはブラームスの交響曲第1番というもの。東欧のオーケストラの芳醇なサウンドマクシム・エメリャニチェフ 3種鍵盤 モーツァルト・リサイタル才人が様々な鍵盤楽器で描くモーツァルトの短調作品+α マクシム・エメリャニチェフは天才肌の音楽家だ。でも、けっして目立ちたがりやではない。鍵盤奏者としても、弾き振りする時も、指揮台に立つ時も、音楽の中にある躍動感や律動、旋律の美しさや和声進行のおもしろさを最大限引き出すことに全身全霊を傾け、一緒に演奏する演奏家たちも聴衆も巻き込んでいく。筆者が彼の才能に最初に注目した英国ロイヤル・オペラでの《アグリッピーナ》(2019年)がまさしくそうした体験だった。 ロシアのニジニ・ノヴロゴロド生まれ。地元とモスクワで指揮、ピアノ、フォルテピアノ、チェンバロなどを学んだ彼がヨーロッパでブレイクしたのは、まずはチェンバロ弾きとしてであった。2013年にイタリアの古楽アンサンブル、イル・ポモドーロの首席指揮者に抜擢。またクルレンツィスのモーツァルト《フィガロの結婚》の録音にもコンティヌオ奏者として光彩を放っている。

元のページ  ../index.html#44

このブックを見る