eぶらあぼ 2022.9月号
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38「僕は吹奏楽の経験はなかったんですが、日本航空高校に入って吹奏楽団の先輩に声をかけられ、練習場所に行ってみたのがきっかけでした」 今年度の団長を務める3年生のトランペット担当、成瀬史弥(ふみ)は言う。「試しにトランペットを吹いてみたら音が出たんですけど、『10年にひとりの逸材だ!』っておだてられて。『もしかしたら俺って才能あるかも?』とつい嬉しくなって入団することに決めました」 中学時代に進学先を決めるとき、「早く自立したい」と学生寮のある日本航空高校を選び、地元の浜取材・文・写真:オザワ部長(吹奏楽作家)の山梨県大会(B部門)で金賞を受賞し、2年目はコロナ禍でコンクールが中止となるも、3年目には山梨県大会を突破して初の西関東吹奏楽コンクール出場を果たした。 そして今年、2年連続で山梨県大会を突破。9月11日に「30人以下の小編成の最上位大会」である東日本学校吹奏楽大会出場をかけて、西関東吹奏楽コンクールに挑むことになっている。年々力をつけ、注目の存在になってきているバンドだ。 コロナ禍も3年目、ぶらあぼ編集部では多くの音楽家から吹奏楽部の苦難の状況を耳にしてきました。そこで吹奏楽と言えばこの方、吹奏楽作家のオザワ部長に登場いただき吹奏楽部を応援する企画を始めました。まだマスクが取れない日々ですが、音楽へひたむきな情熱を燃やす若者の姿は、見ている私たちも元気にしてくれます。 紅白の管制塔が立ち、滑走路が長く伸びていく。小型飛行機のプロペラが唸り、滑走路の先には富士山がそびえ立つ。 ここは空港ではない。山梨県甲斐市にある日本航空高等学校。普通科と航空科を併設する私立高校で、航空科ではキャビンアテンダントや整備士、パイロットを目指す学生が学んでいる。学校内には旅客機を模したモックアップやフライトシミュレーターなどもあり、航空業界での活躍を見据えた本格的な教育が行われている。 また、部活動も非常に盛んだ。甲子園に春夏7回出場している野球部や春高バレーで優勝したことがある男子バレー部など、全国レベルのクラブが多数存在している。敷地内の学生寮では日本全国、あるいは海外から集まってきた学生たちが共同生活を送っている。それぞれが自分の目標に向かって邁進する学校――それが日本航空高校だ。 そして、その中に「空飛ぶ吹奏楽団」こと日本航空高校吹奏楽団がある。 「日本一の吹奏楽団をつくりたい」と梅沢重雄理事長が2019年に音楽監督として千野こころ先生(ホルン奏者でもある)を招聘。1年目に吹奏楽コンクール♪♪♪Vol.3 日本航空高等学校 吹奏楽団

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