eぶらあぼ 2022.08月号
71/153

第70回 ティアラこうとう定期演奏会 9/23(金・祝)15:00 ティアラこうとう問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 https://www.cityphil.jp8/18(木)13:30 高崎芸術劇場 音楽ホール問 高崎芸術劇場チケットセンター027-321-3900 http://takasaki-foundation.or.jp/theatre/高崎芸術劇場 大友直人 Presents T-Shotシリーズ vol.8柴田花■■■音 チェロ・リサイタルカナダで研鑽を積む実力者が重厚なプログラムを携えて登場 高崎芸術劇場の若手演奏家シリーズ「T-Shot」に、チェロの柴田花音が登場する。劇場の芸術監督・大友直人プロデュース企画。高崎の「T」、そしてゴルフのティーショットにかけた、演奏家としての「第一打」の意味も含む。コンサートだけでなくCDやDVDの制作もセットになった新しいプロジェクトだ。大友が柴田を知ったのは、2019年、自身が主宰する国際室内楽セミナー。彼女の美点を「自由でのびのびとした音楽作りと、美しい音色に彩られた華のある演奏」と評する。 現在トロントのグレン・グールド音楽院でハンス・イェンセンに師事する柴田は、横坂源や宮田大らの名だたるチェリストたちを輩出しているビバホールチェロコンクール(養父市)の昨年の優勝者。審査委員長だった堤剛は、プロコフィエフの難曲「交響楽的協奏曲」を軽々と、表情豊かに弾き切った彼女に耳と身体にエキサイティングな感銘をもたらしてくれるに違いない。 ソプラノの高野百合絵の歌声も要注目だ。彼女は、佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2021《メリー・ウィドウ》で主役ハンナ・グラヴァリを見事に演じた超新星。華麗な舞台姿と確かな歌唱力で支持を集め、今後のオペラ界を担う逸材として大きな期待が寄せられている。今回は、《カルメン》の〈ハバネラ〉や〈カディスの娘たち〉等のメロディアスな佳品を複数歌うので、その魅力を味わうに持ってこい。加えて、彼女も参加する「三角感嘆したという。 「エネルギッシュでメッセージの強いロシア音楽が好き」という柴田。今回も、プロコフィエフ、そして挑戦してみたかったというシュニトケを軸にした。前半はシューマン「アダージョとアレグロ」、ヒンデミットの無伴奏ソナタ(前記柴田花音 ©Shigeto Imura藤岡幸夫 ©森口ミツル高野百合絵 ©Takafumi Ueno帽子」は、組曲に比べると生演奏の少ない全曲版ゆえに、20世紀バレエの傑作の真髄を体感する絶好の機会となる。これはあらゆる意味で胸が躍るコンサートだ。 文:柴田克彦文:宮本 明鈴木慎崇コンクールの2次予選でも弾いた曲)と、ドイツ・ユダヤ系であるシュニトケのチェロ・ソナタ第1番。後半はロッシーニ《セビリアの理髪師》の楽しいパラフレーズ(ピアティゴルスキーによるチェロ版)に、プロコフィエフの壮大なチェロ・ソナタ。共演ピアノに鈴木慎崇。68藤岡幸夫(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団スペインの熱く躍動するサウンドを堪能 東京シティ・フィルが好調だ。2015年から常任指揮者を務める高関健の手腕と尽力によって年々クオリティがアップし、最近は常に緻密かつ生気漲る演奏を展開している。それは他の指揮者の公演においても然り。桂冠名誉指揮者・飯守泰次郎、そして首席客演指揮者・藤岡幸夫も、高関が築いた精緻なベースの上で、各々の持ち味をフルに発揮した、唯一無二の名演を聴かせている。 藤岡が指揮する9月のティアラこうとう定期は、まさにその佳き一例となるだろう。プログラムは、ビゼーの《カルメン》からの2曲、シャブリエの狂詩曲「スペイン」、ファリャの「火祭りの踊り」等に、同じく「三角帽子」全曲が続く“スペインものの名曲集”。リズムが弾む情熱的かつ色彩的な作品揃いだけに、ダイナミックでホットで躍動的な藤岡の個性が最大限に生きた快演が、

元のページ  ../index.html#71

このブックを見る