eぶらあぼ 2022.08月号
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第2回 平井康三郎声楽コンクール第一次予選(非公開) 9/27(火)~9/30(金) 東京/梅窓院・祖師堂第二次予選 10/4(火) 渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール 本選 10/12(水) 渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール入賞記念コンサート〜平井康三郎没後20周年命日〜11/30(水) 渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール問 平井康三郎声楽コンクール実行委員会03-6403-9846 https://www.arioso.co.jp※コンクールの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。Interview平井丈一朗(チェロ/審査委員長)& 平井秀明(指揮/実行委員長)コンクールを通して「平井歌曲」の魅力を再発見  20世紀日本を代表する作曲家のひとりで、とりわけ歌曲の分野に傑作を残した平井康三郎(1910~2002)の功績を記念し、昨年開催された「第1回 平井康三郎声楽コンクール」には100人を超える応募があり、本選では第1~3位入賞者と11名の入選者が決定。今年3月には彼らが一堂に会するコンサートも開催され大きな成功を収めた。丈一朗「満20歳以上であれば国籍や音楽歴は不問ということで、新人からベテランまで様々な声楽家が集まりましたが、全体的にレベルが非常に高く、選考は熾烈をきわめた。私たちにとっては子どもの頃から慣れ親しんでいるものですが、改めて父の芸術歌曲にはある程度の実力の持ち主でないと手が出せないのだと実感しました」秀明「出場者には課題曲から選曲していただきます。第1次予選で約60名分の〈ゆりかご〉を聴きましたが、それぞれ違って味わい深かった…年齢やその方の人生が出ますね。このほかに〈平城山〉や〈びいでびいで〉も祖父の代表曲ですが、できるだけいろんな曲に挑戦していただきたくて、今では楽譜の入手が困難な楽曲も用意しました。ショパン・コンクールのように名曲には事欠かないのが誇らしいです」 特に本選の課題曲には、オペレッタのような演劇性のある〈うぬぼれ鏡〉曲によるJ.シュトラウスⅡの「皇帝円舞曲」が並ぶ。東京藝術大学からニューヨークのジュリアード音楽院に進んで研鑽を続けた白石らしいプログラミングとも言えるし、それぞれの作品を繋ぐ隠されたキーワードがあるとも言える。演奏を聴きながら、旅するように、彼が作り出す音の世界を一緒に歩んでいくと、その先に答えが待っているのかもしれない。9/7(水)19:00 東京文化会館(小)問 プロアルテムジケ03-3943-6677 https://www.proarte.jpや、共に全国の校歌を手掛けた名コンビである勝承夫の詩によるカンツォーネ風の〈ヴェスヴィアス〉など、知られざる佳曲も盛りだくさん。すでに没後20年となる今年の第2回の募集も始まっており(申込締切:8/1必着)、声楽ファンとしては、公開審査となる第2次予選(10/4)と本選(10/12)、そして入賞記念コンサート(11/30)で再び、美しい日本語の響きと密接に結びついた「平井歌曲」をたっぷりと堪能できるのを大いに楽しみにしたいところだ。丈一朗「今年、新たに用意した課題曲もシャンソン風の〈淡雪の歌〉や、洋画家・内田巌の詩による絵画的な〈夜曲〉があったり、とても魅力的なラインナップです。前回の組曲『みだれ髪』(与謝平井丈一朗平井秀明 ©Terufumi Ueno野晶子)の代わりに、“元祖”情熱の女流歌人・和泉式部の詠んだ歌に書いた3曲もあるのでご期待ください」秀明「前回、本選で〈のうぜんかづら〉(佐伯孝夫)を選ぶ人が少なかったのですが、素晴らしいのでぜひ! もちろん2年続けてのチャレンジもお待ちしています。この企画が祖父の作品だけでなく日本歌曲の普及と更なる発展に繋がることを願ってやみません」取材・文:東端哲也文:片桐卓也©岩切 等67白石光隆 ピアノリサイタル Vol.35欧米各国を巡る音の旅 プログラムの中にたくさんの「謎」、あるいは「問いかけ」を持ったコンサートと言えるのかもしれない。様々な機会にその演奏に接することがあるピアニスト・白石光隆が9月に開くリサイタルは、リスト編のモーツァルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」から始まり、ベートーヴェンの「悲愴」、リストの「2つの伝説」、アメリカの作曲家ボルコムの「3つのゴーストラグ」、スペインの作曲家アルベニスの「イベリア 第1集」、そしてアメリカで活躍したピアニスト、レナード・ペナリオ(1924~2008)編

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