eぶらあぼ 2022.08月号
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第525回日経ミューズサロン プラハ・チェロ・リパブリック(チェロ四重奏) チェロの魅力が炸裂する、ジャンルを超えた多彩なプログラム  ある時は甘く豊潤に、ある時はスリリングに。チェコ国内外で幅広く活躍する実力派チェリスト4人で結成され、クラシック、ロック、ポップス、映画音楽と自在に弾きこなす「プラハ・チェロ・リパブリック」。日経ミューズサロンのステージに降り立ち、チェロ四重奏の持つ、無限の可能性と表現力を示して魅せる。 動画「オペラ座の怪人」のYouTube再生回数が3千万回を突破し、完売公演が続出するなど、世界各地で大反響を巻き起こした「プラハ・チェロ・カルテット」。「リパブリック」は、その中軸メンバーだったペトル・シュパチェク、Interview北村朋幹(ピアノ)精鋭3人が極めるシューベルトの世界 郷古廉(ヴァイオリン)、横坂源(チェロ)、北村朋幹(ピアノ)という気鋭の3人が集い、浜離宮朝日ホールでシューベルトのピアノ三重奏曲を奏でる。夏の夕暮れを思わせる「ノットゥルノ(夜想曲)」からはじまり、ピアノ三重奏曲第1番、第2番を並べたプログラム。とくに第2番はベーレンライター版の楽譜を使用し、カットなし、繰り返しもすべて弾く最長バージョンで演奏する点においても注目である。 「シューベルトの第2番は、あらゆるピアノ三重奏曲のなかでどれか1曲を選ぶとしたらこれだと思うほど、僕にとって特別な作品。ベーレンライター版以外の楽譜では、第4楽章の中間部にシューベルト自身が指定した大幅なカットがあるのですが、今回はそこもカットせずに弾きます。この楽章の、どこへ行くのかわからないような転調を聴いていると、次から次へと楽想があふれてきて、筆が追いつかないような勢いで作曲していたのだろうなと想像します。そういう意味で、シューベルトの頭の中をそのまま書きとめたような今回のバージョンは、よりピュアですよね」 そう語る北村にとって、シューベルトはどのような作曲家なのだろうか。 「僕自身は、1回聴いただけで良い曲だなあと思えるのはシューベルトの素ヤン・ゼーメン、イワン・ヴォカーチに、マチェイ・シュテパーネクが加わり、今春に始動した。 ステージでは、ドビュッシー「月の光」やバッハ「G線上のアリア」など、クラシックの“テッパン名曲”から、モンティ「チャールダーシュ」やピアソラ「リベルタンゴ」、『キャッツ』や『オペラ座の怪人』のミュージカル・ナ9/26(月)18:30 日経ホール問 日経公演事務局03-5227-4227 https://stage.exhn.jp晴らしさだと思っていて、10代の頃は素直に大好きで、たくさん弾いていました。けれど世の中におけるシューベルト像は神格化されたもので、“若いうちは触れてはいけないもの”のように捉えられることも。それを知って、自分の抱くイメージとのバランスがとれなくなり、ソロではあまり演奏しなくなった時期もありました。第1番と第2番の三重奏曲にしても、“晩年に書かれた深淵な作品”と言われますが、シューベルトは31歳で亡くなったので年齢的にはまだ若いですよね。僕にとってシューベルト晩年の作品はもっと日常的なもので、歌にあふれた瑞々しい音楽だと捉えています」 ソロとしても活躍し、個性のまったく異なる3人だからこそ、その場で生まれる音楽が面白くなる。 「横坂くんとは10年近く前からの付き合いですが、たくさんの言葉を使ってリハーサルをするタイプで、一つひとつの言葉にファンタジーがあるんです。郷古くんは2018年にこのトリオではじめて演奏したときが初対面でした浜離宮朝日ホール 開館30周年記念郷古 廉 × 横坂 源 × 北村朋幹 シューベルトのピアノ三重奏曲9/28(水)19:00 浜離宮朝日ホール問 朝日ホール・チケットセンター03-3267-9990 https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/ンバー、クイーンやビートルズなどロックまで、多彩に披露する。が、彼にしかない才能や感性というものを、すぐに感じました。それぞれが外から摘み取ってきたものを自分の中で吸収して、トリオとして集まったときにパッと出し合う、そういったバランスが今はとてもうまくいっているように思います」取材・文:原 典子©TAKA MAYUMI文:笹田和人58

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