eぶらあぼ 2022.08月号
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Interview佐藤美枝子(ソプラノ)& 岩田達宗(演出)名手たちが贈る“究極のベルカント・オペラ” 室内楽ホールとしては国内屈指の響内楽として緻密にやろう、ときを誇る第一生命ホール。ここで開催いうことを考えた時にもっされている「室内楽ホール de オペラ」とも重視したのは、ベルカンシリーズは、音響はもちろんのこと、舞トの基礎としてのレガート台と客席とが近いために臨場感あふれができていること、そしてイるドラマが体験できると、オペラ・ファタリア語の細かいニュアンンからも高い評価を得ている。今回、スがきちんと身についていることの2点です。その観同シリーズに登場するのは日本を代表点から選んだ4人の男性歌するプリマドンナの佐藤美枝子。自ら手陣(清水徹太郎、黒田博、の名前を冠した「佐藤美枝子の『ルチ久保田真澄、所谷直生)は、ア』」で、ドニゼッティの傑作《ランメル全員がその力量を持った人モールのルチア》のハイライト上演にたちです」挑む。 「ベルカントの真髄はイ 《ランメルモールのルチア》は、佐藤タリア語の言葉の力」と岩田が言えがその歌手人生をかけて取り組んできば、佐藤も「言葉の重要性」について強た作品。今、改めてこの作品に取り組調する。む意味をこう語る。佐藤「音楽の上に言葉が乗っているの佐藤「歌い手として総合的にピークでではなく、言葉で語っていることが音あると感じている現在、もっとも凝縮楽になっている、というのがベルカンされたものをお届けするためには《ルト・オペラです。そうした言葉の力をチア》しかない、と思いました。私がこ伝える時に、あまり大きすぎる空間でれまでに培ってきたテクニックや音楽は聴いてくださる方に届く密度が薄く性を、第一生命ホールという空間で存なってしまうんです。音楽が細部まで分に披露できる作品です」とてもよく伝わる第一生命ホールのよ 演出は、全国のオペラ・プロダクショうな空間で歌う方が、よりお客さまのンから依頼が殺到する岩田達宗。佐藤とは2003年に初演された《幻想の心に響くのではないでしょうか。そうルチア》が大きな話題となったが、今回“究極のベルカント・オペラ”のためにこれ以上ないキャストを集めた。岩田「第一生命ホールという環境で室て、音楽的な視野を広げている。 パガニーニの「モーゼ幻想曲」、オッフェンバックのチェロ二重奏曲 op.53-2、ボッケリーニの2つのチェロのためのソナタ、ハイドンの二重奏曲 ニ長調など、プログラムは多彩。幅広い音域と豊かな音色を持つチェロならではの表現力が発揮される。音楽を通した親密な対話を楽しみたい。室内楽ホール de オペラ 岩田達宗プロデュース 〜佐藤美枝子の「ルチア」10/22(土)13:30 第一生命ホール問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 https://www.triton-arts.net10/3(月)19:00 王子ホール 10/4(火)19:00 武蔵野市民文化会館(小)問 プロアルテムジケ03-3943-6677 https://www.proarte.jp他公演 10/2(日) 岡崎市シビックセンターコンサートホール コロネット(0564-72-5111)した空間で《ルチア》を上演する意義、というのがあると考えています」 室内楽ホールである第一生命ホールならではの演出も考えていると岩田。岩田「特別な舞台装置はありませんが、ホールにある設備を使って、人がたくさんいるように見せる工夫を考えています。オペラ劇場ではないからこそ考えられる“舞台マジック”のようなことに挑戦するつもりです」 名手が集まって贈る「究極のベルカント・オペラ」。その真髄を体験せずにはいられない。クレメンス・ハーゲン ©Akira Muto佐藤美枝子取材・文:室田尚子ユリア・ハーゲン ©Julia Wesely岩田達宗文:飯尾洋一53クレメンス&ユリア・ハーゲン(チェロ) デュオ・リサイタル日本では初の親子共演が実現  ハーゲン・クァルテットのチェリストとして日本でもおなじみのクレメンス・ハーゲンが、同じくチェリストとして活躍する娘のユリア・ハーゲンとともに親子デュオを組んで来日する。ハーゲン家といえばザルツブルクの名高い音楽一家。父クレメンスは兄弟姉妹とともに結成したハーゲン・クァルテットの一員として、またソリストとして名声を築いてきたが、その娘ユリアも国際的なキャリアを積んでいる。モーツァルテウム音楽院やウィーン大学に学んで、オーストリアの伝統を受け継ぐ一方、ベルリン芸術大学でイェンス=ペーター・マインツに師事し

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