eぶらあぼ 2022.08月号
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10/12(水)19:00 王子ホール 7/23(土)発売問 王子ホールチケットセンター03-3567-9990 https://www.ojihall.jp交響曲 K.364の独奏を務め、メインのマーラーの交響曲第1番にも加わる。しかも、同フィルのコントラバス奏者シュテファン・シェーファーがロックダウン中に作曲した弦楽合奏のための「YAMAGA」という瞑想的で美しい作品も演奏される。 一方、伝統ある八千代座では、ハンブルク・フィル・メンバーと山鹿少年少女合唱団とのスペシャル・コンサートに加えて、世界的なメゾソプラノ、藤村実穂子を迎えてのシェーンベルク「月に憑かれたピエロ」と新作能「月乃卯」という意欲的な二本立ても行われる。ケント・ナガノ指揮 九州交響楽団演奏会9/9(金)19:00 熊本県立劇場コンサートホールハンブルク・フィル・メンバーと山鹿少年少女合唱団が贈るスペシャル・コンサート9/10(土)14:00 山鹿/八千代座「月に憑かれたピエロ」と新作能「月乃卯」9/11(日)14:00 山鹿/八千代座問 くまもと復興国際音楽祭実行委員会事務局096-328-5525  八千代座0968-43-2000(9/10, 9/11のみ)https://www.kumamoto-irmf.com ※音楽祭の詳細は左記ウェブサイトをご確認ください。るのも楽しみだ。鈴木は「半音階的幻想曲とフーガ」。タメスティは「シャコンヌ」(原曲のニ短調から5度下のト短調)。ことにタメスティの弾く究極的な1曲は、とにかく驚異的な体験になると断言して差し支えないだろう。 彼らは以前からヨーロッパでは共演を重ねていて、2018年録音のCDも好評を博した。20年に予定されていた王子ホール公演は残念ながら延期になったが、この2年間の鈴木の大活躍ぶりと表現の深化には目覚ましいものがあり、今回の共演も4年前の録音と同じにはならないはず。名人たちの高次元の交歓で、最高のバッハ体験を。ケント・ナガノ ©Antoine Saito左:アントワン・タメスティ 右:鈴木優人 ©Philippe Matsas Harmonia Mundi文:後藤菜穂子文:林 昌英藤村実穂子 ©R&G Photography地震や豪雨からの復興を世界に発信する絶好の機会になるだろう。52くまもと復興国際音楽祭世界的なマエストロが自らのルーツの地で3ステージに登場! この秋、世界的指揮者のケント・ナガノが3年ぶりに熊本の地に帰ってくる。一昨年創設されたばかりのくまもと復興国際音楽祭のメインイベントとして、熊本県立劇場で九州交響楽団を指揮するほか、祖父の出身地である山鹿市の八千代座で2公演を行う。本来、昨年企画されていたものだが、渡航制限のために来日できず、ようやく実現する。 ナガノが手兵ハンブルク・フィルのメンバーとともに祖父の故郷に音楽を響かせたのは2019年11月のこと。同フィルとの日本ツアーの折、オフ日にオーケストラの有志のメンバーと八千代座で熊本地震復興支援のチャリティー公演を行った。そのときの交流が縁となり、今年の音楽祭にもハンブルク・フィルのメンバーたちが参加する。九響との公演(スペシャル・アドバイザー:篠崎史紀)では、同フィルの首席奏者たちがモーツァルトの協奏アントワン・タメスティ(ヴィオラ) & 鈴木優人(チェンバロ) 〜バッハ・プロジェクト〜満を持して実現する、達人たちのバッハの夕べ J.S.バッハを愛する人、ヴィオラを愛する人であれば、この公演を逃すわけにはいかないだろう。紛うことなき世界のトッププレイヤーであるアントワン・タメスティのヴィオラと、指揮者・鍵盤楽器奏者・プロデューサーなど多彩な才人ぶりを発揮する鈴木優人のチェンバロのデュオである。 「バッハ・プロジェクト」と題された本公演では、「ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ」3曲が演奏される。ソロ楽器とチェンバロの右手が対等な役割をもち、左手の低音部が支えるソナタだが、タメスティはガット弦を使用しつつ自在な表現で大きな音楽を作りあげ、鈴木は旋律を絶妙に絡み合わせながら万全に支えていく。そこまででもかなりの水準の名演になるはずだが、このふたりが舞台で顔を合わせるとなれば、そんな予想も超えてくるかもしれない。 さらに、両者がソロを1曲ずつ聴かせ

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