eぶらあぼ 2022.08月号
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 コロナ禍も3年目、ぶらあぼ編集部では多くの音楽家から吹奏楽部の苦難の状況を耳にしてきました。そこで吹奏楽と言えばこの方、吹奏楽作家のオザワ部長に登場いただき吹奏楽部を応援する企画を始めました。まだマスクが取れない日々ですが、音楽へひたむきな情熱を燃やす若者の姿は、見ている私たちも元気にしてくれます。 6月22日、茨城県立境高等学校吹奏楽部2年で部長を務める関せき羽わかな叶(クラリネット)と、同学年の広瀬亜実(ホルン)は西武池袋線練馬駅に降り立った。ふたりは放課後、のどかな茨城県境さかいまち町からバスと電車を乗り継ぎ、2時間以上かけて東京へやってきたのだ。 杉山惇先生が顧問を務める境高校吹奏楽部の部員数は、わずか17人。しかも、3年生がおらず、1、2年生だけだ。 昨年はさらに少ない15人だったが、30人まで出場できる吹奏楽コンクールB部門(小編成)で東関東大会に出場し、銀賞を受賞した。今年も東関東大会、そして、その先の最上位大会である東日本学校吹奏楽大会の出場を目指して活動している。 だが、今年の自由曲「内触覚的変容」(天野正道)は、まだ最後まで通して演奏するのがやっとという状態。変拍子のある難しい曲だし、複数の楽器の持ち替えもある。3年生のいない少人数バンドでいかに豊かな音楽をつくり出すか、という課題もあった。 そんなとき、テューバ奏者・本橋隼人さんが発起人になってプロの演奏家が約30人集結する「低音ぶれいくCafe♪吹奏楽団 プレミアムコンサート」に境高校吹奏楽部の代表2名と杉山先生が招待されたのだ。取材・文・写真:オザワ部長(吹奏楽作家)左より田中靖人さん、本橋隼人さん、広瀬さん、関さん、杉山惇先生羽叶も亜実も、プロのコンサートは初めてだった。 「せっかくのチャンス。プロの演奏をしっかり聴こう!」と羽叶は意気込んでいた。 「たくさん学びながら、コンサートを楽しみたいな」と亜実は思った。 期待に胸を膨らませたふたりは、会場の練馬文化センターへと足を踏み入れた。         ♪ 羽叶と亜実、そして、後から合流した杉山先生は開演前に本橋さんとサクソフォン奏者の田中靖人さんに直接アドバイスをもらう機会を得た。田中さん38vol.2 茨城県立境高等学校 吹奏楽部

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