eぶらあぼ 2022.7月号
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第85回 定期演奏会 7/30(土)15:00 三鷹市芸術文化センター 風のホール問 三鷹市スポーツと文化財団0422-47-5122 https://mitaka-sportsandculture.or.jp 「これはピアノの限界を超えています。バッハもそうですが、まさにオーケストラの多様な音色をピアノ1台に凝縮しているような作品ですね。僕は浜離宮朝日ホールで演奏するのは今回が初めてですが、みんなから響きがとてもすばらしいと聞いていますので、その上質な響きを各曲で存分に発揮したい!!」62Interview三浦謙司(ピアノ)バッハの影響を辿る厳選されたプログラム 新たな才能の出現には心躍るものがある。2019年のロン・ティボー・クレスパン国際コンクールピアノ部門優勝の三浦謙司が、浜離宮朝日ホールで待望のリサイタルを開くが、プログラムが「いま」をリアルに表していて非常に興味深い。三浦は独特の世界観を備えた音楽家で、コンクール優勝時も有頂天にならずひとつのプロセスとしてとらえ、今後の音楽家としての道をクールに見据えていた。 「1年ほど前からJ.S.バッハに対する思いが強くなり、今回はぜひバッハから始めたかった。それもマルチェッロのオーボエ協奏曲の編曲版で。これは第2楽章がとても有名ですが、全体でひとつの作品として存在している。数多くの作品を残したバッハが編曲しているところが興味深いですね。今回はさまざまな作曲家がバッハを尊敬し、その影響が作品に現れたものを取り上げます。その影響を探る『音楽の旅』を作り上げたいのです」 次いでハイドンのソナタ第50番Hob.ⅩⅥ:37が登場。 「バッハがニ短調ですので調性を意識し、ニ長調のソナタをもってきました。僕はこのソナタが大好きで、自由が感じられる。バッハやハイドン、モー回のペースで今回が20回目、残るは7曲。第11番はモーツァルトがコンスタンツェと結婚し最も充実していた時期の快活で美しい作品。沼尻の弾き振りで聴けるのは希少な機会でもある。シューマンは同時録音されており、今回で完結する。巧く書けていない部分が多いとも言われるシューマン独特の書法はかツァルトなどの古典作品はある種の枠組みがあり、そこから出る演奏は認められないと思われがちですが、けっしてそうではないと思う。すべての作品が自由闊達で時代を先取りし、バッハは広大な宇宙を感じます。そのバッハを尊敬していたメンデルスゾーン『厳格な変奏曲』からバッハ『イタリア協奏曲』、リスト『イゾルデの愛の死(ワーグナー)』へとつなげます。バッハの感情表現は濃密なワーグナーにけっして劣りません」 作品の背景やバッハに対する思いなどを徹底して調べ、こだわりの選曲を生み出した。 「音楽のみならず常に好奇心を抱き、新たなことを探求し、自分の知らないことに疑問をもつことが大切だと思っています。いまイスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリの著した『サピエンス全史』を読んでいますが、知らないことを知るのは大いなる喜びです」 最後に置かれたのは、ストラヴィンスキーの「ペトルーシュカからの3楽章」である。浜離宮ランチタイムコンサートvol.216 三浦謙司 ピアノリサイタル7/11(月)11:30 浜離宮朝日ホール問 朝日ホール・チケットセンター03-3267-9990 https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/沼尻竜典 ©三浦興一トウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア ©YUSUKE TAKAMURAえって魅力がある、と語る沼尻の精彩で緻密な指揮に期待したい。取材・文:伊熊よし子文:長谷川京介©Jeremy Knowles沼尻竜典(指揮/ピアノ) トウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア弾き振りのモーツァルトとラストとなるシューマン全曲演奏プロジェクト 1995年に三鷹市出身の指揮者・沼尻竜典の呼びかけで誕生したトウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア(2016年トウキョウ・モーツァルトプレーヤーズから名称変更)。国内外のオーケストラのメンバーとして、またソリストとして活躍する日本の若手奏者を中心に構成され、三鷹市芸術文化センター風のホールを拠点に活動を続けている。 第85回定期は音楽監督・沼尻の指揮とピアノで、モーツァルト「ピアノ協奏曲第11番」とシューマン「交響曲第1番『春』」他が演奏される。モーツァルトのピアノ協奏曲とシューマンの交響曲は全曲演奏を目指しており、モーツァルトは年1

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