eぶらあぼ 2022.7月号
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第619回 定期演奏会 7/22(金)19:00 サントリーホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 https://yomikyo.or.jp辻 彩奈(ヴァイオリン) & 阪田知樹(ピアノ) デュオ・リサイタル俊英たちが共鳴し、触発し合う豊潤な音世界 辻彩奈の進化が目覚ましい。彼女は、2016年のモントリオール国際音楽コンクール優勝後、国内外で顕著な活躍を続ける俊才ヴァイオリニスト。卓越した技術もさることながら、他の若手と一線を画すのは、“自身の声”で奏でる濃密な音楽であり、その演奏は誰をも惹き込む力がある。しかもここ数年、内外の一流音楽家との共演やフランス留学、それに何よりコロナ禍での多くの代役を通して、艶や密度やスケール感を増している。 この7月、彼女はピアノの阪田知樹とのデュオ・リサイタルを全国で行う。阪田も、16年フランツ・リスト国際コンクール優勝後、国際的に活躍している俊英。ソリストとしての技量はもとより、室内楽でのセンスやバランス感覚が素晴らしく、共演者を引き立てながら絶妙な自己主張を果たす。辻とは20年からコンビを組み、生気に富んだデュオを展開している。それだけに深化著しい辻と彼が触発し合って生み出す“今”の音7/7(木)19:00 昌賢学園まえばしホール(前橋市民文化会館)問 昌賢学園まえばしホール(前橋市民文化会館)027-221-43217/14(木)19:00 トッパンホール 問 トッパンホールチケットセンター03-5840-22227/15(金)13:30 神奈川県立音楽堂 問 神奈川芸術協会045-453-5080https://www.kajimotomusic.com※全国ツアー他日程等の詳細は上記ウェブサイトをご確認ください。58能を認められたエフゲニ・ボジャノフとともに、若きメンデルスゾーンの「ヴァイオリンとピアノのための協奏曲」を演奏するのにも注目。この二重協奏曲の再評価につながる演奏となるかもしれない。そのほか、ペーテル・エト楽への期待は、いやが上にも膨らむ。 4種あるプログラムの中で、主軸をなすのはロシア・モダンと独墺名作。前者では、ショスタコーヴィチのヴァイオリン・ソナタ op.134が目を引く。この思索的で鮮烈な音楽は、研ぎ澄まされた感性や集中力を要するだけに注目度が高い。後者では、シューベルアレホ・ペレス ©Karim Khawatmi辻 彩奈 ©Ayustetエフゲニ・ボジャノフ 諏訪内晶子 ©Marco Borggreve©Takaki Kumadaヴェシュの「セイレーンの歌」を日本初演する。ペレスはキャリアの初期の頃に、エトヴェシュのアシスタントを務めていた(《レディ・サラシナ》世界初演も助演した)こともあり、恩師の作品を日本に紹介することになる。阪田知樹 ©Ayustetト、シューマン、クララ・シューマン、ブラームスの関連性が妙味。むろん各曲のロマンティックな表現も楽しみだ。このほか、シュニトケ、ストラヴィンスキー、J.S.バッハ、フランクなど興味深い演目が揃って、どの組み合わせも魅力十分。ここは、若き才能が生み出す清新で芳醇な世界を堪能しよう。文:山田治生文:柴田克彦アレホ・ペレス(指揮) 読売日本交響楽団話題のペレス再び! 名手たちとの共演が実現 読売日本交響楽団の7月の定期演奏会には、アレホ・ペレスが登場し、ショスタコーヴィチの交響曲第12番「1917年」を指揮する。1974年ブエノスアイレス生まれのペレスは、現在フランダース歌劇場の音楽監督を務めている。ザルツブルク音楽祭でウィーン・フィルを相手にグノーの《ファウスト》を指揮して話題となり、ザクセン州立歌劇場では《カルメン》を振り、祖国のコロン劇場では《パルジファル》や《ばらの騎士》などを取り上げた。読響とは2018年の東京二期会の《魔弾の射手》で共演。ペレスは、オペラのほか、アンサンブル・モデルン、アンサンブル・アンテルコンタンポラン、クラングフォルム・ウィーンを振るなど、現代音楽も得意としているので、ショスタコーヴィチが十月革命を描いた交響曲第12番を、どう解釈し、どう再現するのか興味津々である。 このコンサートでは、諏訪内晶子が、ブルガリア出身でアルゲリッチにも才

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