eぶらあぼ 2022.7月号
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7/16(土)〜8/2(火) 札幌コンサートホール Kitara、札幌芸術の森、苫小牧、江別、函館、奈井江、東京 他■ パシフィック・ミュージック・フェスティバル組織委員会  011-242-2211 https://www.pmf.or.jp※各公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。左より:ラハフ・シャニ ©Marco Borggreve/小曽根 真 ©Kazuyoshi Shimomura(AGENCE HIRATA)/ケン=デイヴィッド・マズア ©Beth Ross Buckley/ライナー・キュッヒル ©R-Resonance金川真弓 ©Kaupo Kikkas/上野通明/北村朋幹 ©TAKA MAYUMI コロナ禍は決して終わったわけではないが、ようやく海外からアーティストたちが来日できるようになり、音楽界も活況を取り戻しつつある。この夏のパシフィック・ミュージック・フェスティバル札幌(PMF)も、いよいよ本来の姿を取り戻す。3年ぶりに海外からアカデミー生や最高峰の教授陣を招いて、PMFオーケストラが結成されることとなった。 今回目をひくのはフレッシュな指揮者陣。首席指揮者としてラハフ・シャニが招かれる。イスラエル出身のシャニは2013年にグスタフ・マーラー国際指揮者コンクールで優勝し、2020/21シーズンよりズービン・メータが50年間にわたって務めたイスラエル・フィル音楽監督の任を引き継いでいる。ベルリン・フィルやウィーン・フィルにも客演する気鋭だ。 札幌芸術の森・野外ステージでのピクニックコンサート(7/30)、札幌コンサートホール KitaraでのPMF GALAコンサート(7/31)、PMFオーケストラ東京公演(8/2)に出演し、プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番とブラームスの交響曲第2番ほかを指揮する。プロコフィエフで小曽根真がソリストを務めるのも話題を呼ぶだろう。 もうひとりは客演指揮者のケン=デイヴィッド・マズア。クルト・マズアの息子であり、シカゴ・シビック・オーケストラ首席指揮者およびミルウォーキー響音楽監督を務め、サンフランシスコ響やボストン響等のトップオーケストラにも客演している。オープニング・コンサート(7/16)と苫小牧公演(7/17)でベートーヴェンのヴァイオリン、チェロとピアノのための三重協奏曲、ウクライナの作曲家シルヴェストロフの「讃歌–2001」(日本初演)、メンデルスゾーンの交響曲第5番「宗教改革」ほかのプログラムを披露する。ベートーヴェンではヴァイオリンの金川真弓、チェロの上野通明、ピアノの北村朋幹といった充実したソリスト達が共演する。また、ケン=デイヴィッド・マズアはPMFホストシティ・オーケストラである札響との演奏会(7/22)も指揮する。曲はシューマンの交響曲第4番ほか。ゲストコンサートマスターにライナー・キュッヒルを迎える点でも注目される。 教授陣も豪華だ。PMFヨーロッパにはキュッヒルをはじめ、ウィーン・フィル、ベルリン・フィルの名手たち、PMFアメリカにはサンフランシスコ響やフィラデルフィア管、ロサンゼルス・フィルなどのスタープレイヤーたちの名が並ぶ。教授陣による公開マスタークラスはアマチュアプレイヤーはもとより、あらゆる音楽ファンにとって大いに刺激的なものになるはずだ。また、室内楽公演も見どころが多い。PMFウィーン演奏会(7/15)、PMFベルリン演奏会(7/18)、PMFアメリカ演奏会(7/29)といった教授陣が出演する演奏会のほか、PMFアンサンブル・セレクション(7/19)ではキュッヒルによるサン=サーンスや、ピアノデュオのpiaNA(西本夏生&佐久間あすか)によるカプースチン、金川真弓、上野通明、北村朋幹のソリスト陣によるブラームスのピアノ三重奏曲第1番からなる多彩なプログラムが用意される。 みんなが待ち望んでいたフルバージョンのPMFが帰ってくる。文:飯尾洋一46パシフィック・ミュージック・フェスティバル札幌 2022「フルバージョンのPMF」待望の開催

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