eぶらあぼ 2022.6月号
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第69回 ティアラこうとう定期演奏会 7/9(土)15:00 ティアラこうとう問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 https://www.cityphil.jp7/26(火)15:00 19:30 Hakuju Hall問 Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 https://hakujuhall.jp第166回 リクライニング・コンサート 廣津留すみれ ヴァイオリン・リサイタル多才なヴァイオリニストが「夏の夜空」をテーマに癒しの音色を Hakuju Hallのリクライニング・コンサート・シリーズにヴァイオリニストの廣津留すみれが登場する。今年2月に、デア・リング東京オーケストラと共演したメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ほかでCDデビューを果たしたばかりだが、初アルバムにして弾き振りのライブ音源ということでも話題を呼んだ。日本の高校を卒業後、ハーバード大学で応用数学や社会学を学んだ。あるステージでの演奏をきっかけに「シルクロード・アンサンブル」に参加し、設立者であるヨーヨー・マと共演。その後、ジュリアード音楽院修士課程に進学、どちらも首席で卒業・修了し、帰国後は著書の出版やテレビ情報番組のコメンテーターとしても活躍の幅を広げるなど、多彩な才能を見せるアーティストだ。 1時間の「リクライニング」で楽しめるプログラムとして廣津留が選んだのは、2016年の映画「ムーンライト」序曲、ガーシュウィン(ハイフェッツ編)の《ポーギーとベス》からのナンバー、マックス・リヒターの「Mercy(慰撫)」、大島ミチルの「メモリーズ」、ドビュッシーの「月の光」、“白鳥の歌”となったヴァイオリン・ソナタ。現代的でありながら、ゆったりと響きを味わえる作品が並び、コンセプトを浮き彫りにするプログラミングだ。ピアノ共演は、声楽家とのアンサンブルや、多数の音楽祭出演で高く評価され高関 健 ©️K.Miura楽団首席奏者の竹山愛がソロを務めることが話題になっている。楽団の好調を支えるプレイヤーのひとりである彼女のモーツァルト、典雅な美音を満喫できる好演になることは間違いない。 ところで、ブラームスの3番といえば、第3楽章を筆頭とするメロディの美ている河野紘子。2人の瑞々しいアンサンブルに、深く癒されるひと時を味わいたい。文:林 昌英文:飯田有抄竹山 愛しさ、豊かなハーモニーに加えて、シンコペーションの多用、小節の頭(1拍目)がわからなくなる仕掛けなど、実は随所でリズムの工夫が際立つ曲でもある。そのブラームスとバルトークが並ぶコンサート、「リズム」に注目してみるのも一興かもしれない。55高関 健(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団リズムの技法が光る傑作を集めて 高関健が東京シティ・フィル常任指揮者に就任してから今春で8シーズン目を迎えたが、意外にも今年の3月まで、高関は同楽団定期演奏会でブラームスの交響曲を取り上げていなかった(音楽祭など客演は除く)。その3月のティアラこうとう定期、満を持して取り上げたのは第1番。堅固にして柔軟、精緻にして余裕のある、お互いの信頼関係がよく示された充実のブラームスを聴かせた。それから4ヵ月後、早くも再びブラームスを取り上げて第3番に挑む。本作の新しい魅力まで明らかになるような、味わい深き名演への期待が高まる。 また、今シーズンのティアラこうとう定期には高関が4回中2回登場するが、いずれも前半にバルトークとモーツァルトが組まれている。時代も作風もかなり違う両者の対比は興味深く、発見もありそう。7月のバルトークは土俗性と熱気あふれる「舞踏組曲」。モーツァルトはフルート協奏曲第1番で、同

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