eぶらあぼ 2022.6月号
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6/24(金)19:00 トッパンホール問 アイエムシーミュージック03-6907-2535https://management.imc-music.net■波花■■■梨(サクソフォン)& 黒岩航紀(ピアノ)■桜(ヴァイオリン)& 陬■SUMMER CONCERT in Karuizawa “情熱の異色トリオ”8/11(木・祝)14:00 軽井沢大賀ホール問 MIグループ03-6913-3401https://www.maoito.infoInterview伊藤万■日本初!?の異色トリオがデビュー・アルバムで見出す新たな可能性 ヴァイオリン伊藤万桜、サクソフォン陬波花梨、ピアノ黒岩航紀。異色の編成のトリオが、デビュー・アルバム『夢の色彩』をリリースした(デジタル配信限定)。陬波「万桜ちゃんとは『GVIDO Ⅸ』(グイドナイン)というプロジェクトで知り合って意気投合し、それ以来一緒に演奏活動を重ねてきました。黒岩さんはサクソフォンにもヴァイオリンにも博識なピアニスト。ぜひ一緒に演奏していただきたいとお誘いし、昨年全国3都市でツアーを行いました」伊藤「花梨ちゃんは出会った当初から“クラシックのサクソフォン”にこだわっていて、私自身も彼女に出会って180度認識が変わりました。楽器を3本持ち替えての演奏も驚きでしたが、p(弱音)がとても美しくて感動したのを昨日のことのように思い出します」陬波「サクソフォンは音が大きいという自覚はあって(笑)。でも万桜ちゃんの演奏はいい意味の力強さがあり、サクソフォンに負けじと来てくれる。一対一で対峙できているなという感じです。またサクソフォンにも、もっと繊細な表現の幅があるということに気づきました」黒岩「音はもちろんのこと、歴史的な視点でも対照的なイメージの2つの楽器。その融合は、ある意味で現代の芸術のあり方を先導しているようにも感じますし、工夫は要するものの、倍音の豊かさで共 そんな彼が初来日し、輝く才能を示すリサイタルを開催する。プログラムは、ヴァイオリニストにとって必須の作品となるイザイの無伴奏ソナタ(第1・5・6番)やバッハの無伴奏パルティータ第2番、さらにエルンストの超絶技巧作品「『夏の名残のバラ』の主題による変奏曲」が並び、自身のヴァイオリニストとしてのアイデンティティを存分に示すもの。世界が注目する才能をぜひ生の音で体感してほしい。鳴する部分があります。アンサンブルの分野でのサクソフォンという楽器の可能性はまだ発展途上。このアンサンブルはその可能性のひとつだと思います」 この編成のために書かれた作品は多くない。曲選びにはインターネットを駆使する。伊藤「アメリカのラッセル・ピーターソン(1969~)の三重奏曲第2番は、花梨ちゃんと動画で見つけたものの、日本では楽譜の入手が困難。ご本人にメールで問い合わせて、直接入手することができたのは幸運でした。『Tribute Trio(トリビュート・トリオ)』という題名が付いていて、ラヴェルやベートーヴェンほか4人の作曲家に献呈されている曲です」陬波「フランスのジャン=リュック・ドフォンテーヌ(1971~)の『夢の色彩』は、サクソフォン奏者のジャン=イヴ・フルモーの楽譜リストで見つけました。音を聴かないで一か八かで注文してみたのでスリリングでしたけどすごくいい曲。アルバムのタイトル曲です」CD『夢の色彩』(デジタル配信限定)アールアンフィニMECO-9071 ¥オープンプライス すでに数曲のアレンジ委嘱があり、今後も新作を含めてレパートリーを開拓していく。ほぼすべてがゼロからの手探り。苦労もあるだろうが、とても楽しそうだ。 伊藤と陬波のデュオには「Mer mare(メル・マーレ)」というユニット名がある。トリオ名は?陬波「そこは曖昧で(笑)」伊藤「臨機応変に」 というわけで、名前はまだない。それもまた新しいのかも。8月には軽井沢大賀ホールでコンサートを開催。年内にはリリース記念公演も準備中だ。トリオの生のサウンドにもぜひ触れてみたい。左より:陬波花梨、伊藤万桜、黒岩航紀取材・文:宮本 明文:長井進之介©️Nikolaj Lund54マルク・ブシュコフ 無伴奏ヴァイオリンリサイタルチャイコフスキー・コンクール第2位の逸材が初来日 ヴァイオリニストの家庭に生を受けたマルク・ブシュコフは、ロイヤル・コンセルトヘボウ管やミュンヘン・フィルほか、世界トップクラスのオーケストラとの共演をはじめ、世界各地でのリサイタルなど、国際的な演奏活動を展開し、その才能に注目が集まっているヴァイオリニストである。そのキャリアには目覚ましいものがあり、2013年にモントリオール国際音楽コンクールで優勝、19年にはチャイコフスキー国際音楽コンクールにおいて銀メダルを授与されている。

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