eぶらあぼ 2022.6月号
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6/12(日)15:00 神奈川県民ホール(小)問 チケットかながわ0570-015-415 https://www.kanagawa-arts.or.jp/tc/C × Organ オルガン・コンサート・シリーズロレンツォ・ギエルミ オルガン リサイタルバロックのスペシャリスト待望の来日公演が実現 オルガンやチェンバロなど、イタリアを代表する歴史的鍵盤楽器の名手で、指揮者や研究者としても活躍を続けているロレンツォ・ギエルミ。大バッハを軸に、イタリア初期バロックのフレスコバルディ、北ドイツ楽派のブクステフーデやベームといった、バッハに影響を与えた先達たちの作品を併せて聴き、時空を超えた〈奇跡の出会い〉が体感できるオルガン・リサイタルを開く。約400席の小空間での濃密なる時間。これ以上の贅沢はないだろう。 1959年、ミラノ生まれ。バーゼル・スコラ・カントールム教授などを歴任、現在はミラノの聖シンプリチアーノ教会オルガニストを務めている。世界各地へ客演し、洗練された技巧と、深い造詣に裏打ちされた快演で、聴衆を魅了。さらに、ミラノ国際音楽アカデミー古楽研究所で教鞭を執り、ピリオド楽器アンサンブル「ラ・ディヴィナ・アルモニア」も率いるなど、イタリア古楽界を前衛作曲家ベリオが編曲したブラームスのクラリネット・ソナタ第1番。曲の基本構成はそのままに新鮮なオーケストレーションが施された本作には、同楽器の代表作におけるオッテンザマーの妙技、吹き振りによる彼の解釈、生で耳にする機会の稀な響きなど、チャーム・ポイントが目白押しだ。またモーツァルトの「ハフナー」交響曲、ウェーバーの《オベロン》序曲(共にクラリネットを重用した作曲家でもある)は、指揮者としても活動の場を広げる彼の表現が興味津々。もちろん全体を通して、精緻で柔軟な東響との音楽作りに耳目が集まる。 新味に溢れた本公演は、管楽器ファンのみならず要注目だ。東京オペラシティシリーズ 第128回7/2(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール名曲全集 第178回〈前期〉7/3(日)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 https://tokyosymphony.jpリードし続けている。 「どんなオルガンを弾くかをまず考え、プログラムを決める」とギエルミ。今回は、神奈川県民ホールが誇る、ドイツのヨハネス・クライス社製の銘器を響かせる。まずは、ベーム「前奏曲ハ長調」やブクステフーデ「パッサカリア ニ短調」、フレスコバルディの「トッカータ」など、「バッハ以前」の巨匠の作品を披露。続いて、哀愁を帯びた和声と旋律がドラマチックに展開されるハ短調と、若き作曲家がハンブルクの老巨匠ラインケンの前で披露したと伝わるト短調の2つの「幻想曲とフーガ」、未完の作品をギエルミ自身が補筆した「幻想曲ハ長調」など、大バッハの佳品を味わう。文:柴田克彦文:寺西 肇42アンドレアス・オッテンザマー(指揮・クラリネット) 東京交響楽団スター奏者の“吹き振り”は聴きどころ満載 世界屈指のスター・クラリネット奏者、アンドレアス・オッテンザマーが、東京交響楽団の公演で、“吹き振り”を披露する。1989年オーストリア生まれで、父と兄が共にウィーン・フィルの首席奏者という驚異的なクラリネット一家の一員たる彼は、僅か21歳でベルリン・フィルの首席奏者に就任した稀代の名手。ソリストとしても第一線で活躍し、アンサンブル・ウィーン゠ベルリンのメンバーも務めている。その演奏は柔らかく滑らかにしてクリア。生気と味わいが共生した表現もセンス抜群だ。 今回のプログラムには自身ゆかりの独墺ものが並ぶ。まず着目すべきは、オッテンザマーの編曲によるメンデルスゾーン「無言歌集」のクラリネット&弦楽オーケストラ版(有名な「春の歌」など8曲)。彼は同曲集の編曲版を数多く録音し、清新かつ歌心に溢れた好演を聴かせているので、ライブでの感触が楽しみだ。もう1つの聴きものは、

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