eぶらあぼ 2022.6月号
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第970回 サントリー定期シリーズ6/8(水)19:00 サントリーホール 第147回 東京オペラシティ定期シリーズ6/9(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール第971回 オーチャード定期演奏会6/12(日)15:00 Bunkamura オーチャードホール問 東京フィルチケットサービス03-5353-9522 https://www.tpo.or.jp6/25(土)17:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 https://www.toppanhall.com  後半は、チャイコフスキーのバレエ音楽「白鳥の湖」がプレトニョフ自ら抜粋構成した特別版で演奏される。全4幕のバレエから構成された6曲から成る組曲。とはいえ、既存の組曲や抜粋とは異なり、超一流のピアニストで作曲家(バレエ「眠りの森の美女」のピアノ編曲版は絶品!)でもあるプレトニョフの手にかかると、繊細にして華麗な世界が広がる。まさにそれは「音の魔術師」。チャイコフスキー作品に寄せる愛情と情熱をもちながら冷静で引き締まった誇り高い演奏を聴かせてくれるだろう。なのではないだろうか。 そして、そのデュオの組み合わせも興味深い。荘村・福田というベテラン同士もあれば、鈴木・大萩という中堅のデュオもあり、もちろん別の組み合わせもある。それぞれのデュオの味わいの違いと、作品の個性の違いが、幾重左より:荘村清志/福田進一/鈴木大介/大萩康司 4点すべて ©️Takanori Ishiiにも重なる。チラシには「おとなの休日」とあるが、ギター音楽の大きな要素のひとつであるアンサンブルの魅力を、まさに「おとなの余裕」で楽しませてくれるに違いない。ギターにぴったりと思われるトッパンホールの響きの中で、また新たな伝説が生まれる。ミハイル・プレトニョフ ©️寺司正彦文:柴辻純子文:片桐卓也41DUO × DUO人気ギタリスト4人が多彩なデュオ作品でみせる新たな伝説 日本のクラシック・ギター界を牽引している4人、荘村清志、福田進一、鈴木大介、大萩康司がトッパンホールに集まって、コンサートを開催する。多忙な4人が集まるということ自体がすごいことだが、それぞれのソロを披露するのではなく、演奏曲目がほぼすべてデュオ(二重奏)であるという点も驚きだ。 プログラムは、コアなギター音楽のファンでもワクワクするような多彩さ。バロック時代のヴィヴァルディ、古典派時代のカルリに始まり、メンデルスゾーン、フォーレと19世紀の作曲家もあり、タレガ、アルベニス、ポンセ、カステルヌオーヴォ゠テデスコなどクラシック・ギターのメイン・レパートリーも。さらにはピアソラ、武満徹、ジャン=マリー・レイモン、ローラン・ディアンスなど現代の作品までを網羅する。こんなに変化に富んだラインナップを展開できるのは、世界広しと言えども、この4人だけミハイル・プレトニョフ(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団 鬼才がロシアのサウンドを携えて再来日! 東京フィル6月の定期演奏会は、新型コロナの影響で2年以上来日が叶わず、今年3月のスメタナ「わが祖国」全曲で久々の再会を果たした特別客演指揮者ミハイル・プレトニョフが登場して、2020年に企画して実現できなかった曲目を含むこだわりのロシア・バレエ音楽プログラムを披露する。 まずは、マエストロとも交流があり、今年90歳を迎えるロディオン・シチェドリンの「カルメン組曲」(1967)。ビゼーの歌劇《カルメン》をシチェドリンが妻である20世紀ロシア・バレエの名花マイヤ・プリセツカヤのために編曲。〈ハバネラ〉〈闘牛士の歌〉〈花の歌〉等々の名旋律を散りばめて(「アルルの女」の〈ファランドール〉も加え)再構成、13曲から成る組曲に仕上げた。弦楽合奏と打楽器群という特殊な楽器編成も要注目。多彩な打楽器が実に効果的で表情豊か、リズムが強調された編曲で聴きごたえも十分。

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