eぶらあぼ 2022.6月号
41/133

第618回 定期演奏会6/21(火)19:00 サントリーホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 https://yomikyo.or.jp7/9(土)15:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 https://hakujuhall.jpリビダッケといった指揮者による録音も残されている。華麗かつ色彩的なオーケストレーションが持ち味で、熟れきったロマン派の趣きも。ヴァイグレならではの油彩を思わせる強い音色に魅了されること間違いない。 短い時間のなかに一曲の交響曲を思わせる起伏を凝縮したシュテファン作品のあとは、悠然とした流れをもつブルックナーの大曲が続く。力みや虚勢は一切なく、柔らかにして骨太の響きがもたが、この回のテーマだ。 演奏されるのは、ピアノ・ソナタ第10番、シェイクスピアの同名の戯曲に由来するという説もあるピアノ・ソナタ第17番「テンペスト」、そしてベートーヴェンが晩年にたどり着いた境地が垣間見られる、ピアノ・ソナタ第31番。すでに幾度もピアノ・ソナタの全曲演奏に取り組み、一つひとつの音の意味を追究してきた仲道が、トークはもちろん、音そのものにより、この日の公演のテーマとメッセージを明確に伝えてくれるだろう。セバスティアン・ヴァイグレ ©️読響らす堂々たる存在感。そして、細やかにそれぞれの主題を描きつつ、ダイナミックな頂点を築いてくれるはずだ。©️Kiyotaka Saito文:鈴木淳史文:高坂はる香38セバスティアン・ヴァイグレ(指揮) 読売日本交響楽団聴き手を刺激するマエストロ渾身のプログラム コロナの波を幾度もかいくぐって来日を果たし、読響との関係をより深めたセバスティアン・ヴァイグレ。その常任指揮者が、来る初夏の指揮台に立つ。 曲目は、ルディ・シュテファンの「管弦楽のための音楽」とブルックナーの交響曲第7番(ノヴァーク版)。思えば、ヴァイグレが常任指揮者となって最初の演奏会で取り上げたのは、ヘンツェ(7つのボレロ)とブルックナー(第9番)。ブルックナーの交響曲に、ドイツの表現主義音楽を組み合わせ、聴き手の新たな聴覚を掘り起こす。ヴァイグレにとっての勝負プログラムだ。 シュテファンは、近年再評価が高まってきた20世紀初頭のドイツの作曲家。R.シュトラウスの次世代を担う存在として将来を嘱望されていたが、第一次世界大戦に従軍、戦場(現ウクライナ)で命を落とす。28歳の若さだった。この「管弦楽のための音楽」は、彼の出世作で、シューリヒトやチェ仲道郁代 ベートーヴェンへの道ベートーヴェン 鍵盤の宇宙 第5回「ベートーヴェンとシェイクスピア」偉大な作家から紐解く楽聖の人生観 「ベートーヴェンと偉大な魂との対話」をテーマとし、仲道郁代が2019年にスタートさせた全6回にわたるプロジェクト「仲道郁代 ベートーヴェンへの道 ~ベートーヴェン 鍵盤の宇宙」。異ジャンルの偉人とベートーヴェンを対比させることで、新しい角度からその音楽を見つめ直すという、知的好奇心を刺激するコンサートシリーズだ。公演では、仲道によるテーマに沿ったプログラムの演奏に加え、文筆家・文化芸術プロデューサーの浦久俊彦をナビゲーターに迎えたトークも行われる。 第5回で取り上げるのは、イギリス・ルネサンスの時代を生きた劇作家・詩人のウィリアム・シェイクスピア。ベートーヴェンは彼の戯曲を愛読し、そのセリフを手帳に書き込んで人生訓としていたという。シェイクスピアから得るインスピレーションが、ベートーヴェンの人生観や創作活動にどんな影響を与えていたかを考えてゆくというの

元のページ  ../index.html#41

このブックを見る