eぶらあぼ 2022.6月号
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7/1(金)19:00 Hakuju Hall問 プロアルテムジケ03-3943-6677 https://www.proarte.jp他公演タマーシュ・ヴァルガ チェロ・リサイタル6/26(日) 福岡/クララ・ザール(オフィス・クライオ090-3012-1355)大阪交響楽団 第256回 定期演奏会6/29(水) ザ・シンフォニーホール(大阪交響楽団072-226-5522)Interview佐藤紀雄(アンサンブル・ノマド音楽監督)結成25周年イヤーに委嘱・献呈作品を一挙演奏 1997年、時代を席巻していた思想「ノマドロジー」に由来する名前を冠して結成されたアンサンブル・ノマドが、今年で25周年を迎える。ギタリストで音楽監督の佐藤紀雄が企画したテーマ性のある現代音楽の演奏会は、多くの聴衆から支持されてきた。 「当時、日本音楽コンクールの作曲部門の指揮をしていた際に一緒に弾いてくれた仲間たちに声をかけ、ノマドが結成されました。25年はあっという間でしたが、メンバーの熱意と向上心ゆえに、ここまで続けられたのかなと思います」 東京オペラシティのレジデントアンサンブルとしての活動を経て、現在は異彩を放つ精鋭集団として活躍中だ。 「単なる作品紹介ではなく、なぜこのプログラムを組んだかという文脈やテーマ性を重視しています。活動が認知されてからは、主に海外の作曲家、出版社から『演奏してほしい』というコンタクトが増えましたが、本当に演奏したい作品を厳選しています。10人から15人の編成の作品は実は少ないので、2年ほど前から、ノマドをもっと活用してもらいたいという思いもあり、委嘱新作初演の企画も始めました」 委嘱には、児童文学者の荒木田隆子ソナタ、そして、コダーイによる超絶技巧の難曲、無伴奏チェロ・ソナタを披露。さらに、浅野がショパンの練習曲 嬰ハ短調 op.25-7など、ピアノ独奏のための佳品を添える。 また、2都市でのリサイタルの合間には、大阪交響楽団の第256回定期演奏会にソリストとして登場。外山雄三指揮で、ハイドンのチェロ協奏曲第2番を弾く。基金を活用した。 「荒木田さんは、私のお隣の家に住んでいた方で、晩年に初めてノマドの演奏会に来られてからずっと通ってくださいました。彼女がノマドのために提供してくださった遺財で基金をつくり、活動に役立てています」 25周年記念演奏会は、3回予定されているが、ノマドでしか聴けないような独自の選曲だ。 「欧州、アジア、アメリカといった幅広い地域から作曲家を選定しました。ノマドの演奏の特徴をよく知る作曲家によってアンサンブルのキャラクターを活かした作品が作られいて、全体の創作界を一望できると思います。みな、ノマドをよく知り、ノマドのために作曲してくれています」 初回、6月24日の第75回定期は「都市と記憶」というテーマで、なかにしあかね、郭元、クレッグ・ペップルス、渡辺裕紀子らの個性豊かな作品が並ぶ。 「〈都市と記憶〉というテーマ名は、渡辺さんの作品名からとりました。渡辺作品は工芸品を思わせる精緻な面をアンサンブル・ノマド 第75回定期演奏会 “委嘱・献呈作品集” vol.1:都市と記憶6/24(金)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール問 キーノート0422-44-1165 https://www.ensemble-nomad.com取材・文:伊藤制子 ©️Higashi Akitoshi持っています。また来年2月5日に新作を初演するアレハンドロ・ビニャオはノマドの常連で、25周年にちなんだ『ノマドの時代』という作品を準備してくれました」 来年度のテーマは「息」で、以後は少し長いスパンでのプロジェクトも思案中だという。 「何度も来てくださっている方も、初めての方も、世界初演作品を聴く楽しみの多い演奏会になると思いますので、ぜひご期待ください」 ©️Olga Kretsch文:笹田和人36タマーシュ・ヴァルガ チェロ・リサイタルウィーン・フィルの首席を20年以上務める名手 名門ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の首席チェロ奏者を務め、卓越したソリストとしても国際的な活躍を展開するタマーシュ・ヴァルガ。福岡と東京で来日リサイタルを開き、伸びやかで豊潤な音色を紡ぐ。 1969年、ハンガリーのブダペスト生まれ。7歳でチェロを始め、フランツ・リスト音楽院に学び、後進の育成にも力を注いできた。1998年にウィーン国立歌劇場管弦楽団に入団。ソリストとしても、アダム・フィッシャーや小澤征爾ら巨匠指揮者からの信頼も厚い。 リサイタルは、ドイツに学んだピアノの浅野真弓が共演。西村朗「迦陵頻伽(カラヴィンカ)」やショパンのチェロ・

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