eぶらあぼ 2022.6月号
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7/2(土)15:00 東京文化会館問 NBSチケットセンター03-3791-8888 https://www.nbs.or.jp7/3(日)15:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 https://www.operacity.jp他公演 7/4(月) サントリーホール(ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212) 7/5(火) 赤穂市文化会館 赤穂化成 ハーモニーホール(0791-43-5111)NBS 旬の名歌手シリーズ2022■Ⅰ ソニア・ヨンチェヴァ ソプラノ・コンサート“21世紀のディーヴァ”、待望の初来日! ソプラノ、ソニア・ヨンチェヴァの噂は、10年前から、さざ波のようにひたひたと押し寄せてきた。まずはブルガリアの通訳さんから。 「センセ、ヨンチェヴァって知ってます?」「いまオペラ雑誌でどんどん名前が出てますね」「この間ソフィアでコンサートをやってすごい話題になりました!」 続いては、ロンドン勤務の友人より。 「《ノルマ》ってオペラで急遽代役に立った人が成功して、なんでもブルガリア人で…」「それ、ヨンチェヴァ!」 それから、イタリア在住のジャーナリストさん。 「スカラ座で《イル・ピラータ(海賊)》というオペラを久々に上演するそうです。主演がヨンチェヴァといって・・・」「なるほど。その演目なら『マリア・カラスの再来』と呼ばれてもおかしくないですね」 大歌手を輩出するブルガリアに生まれ、フランスなど各国で舞台経験を積したのは、モーツァルトのピアノ協奏曲第20番(ピアノは河村尚子)とブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」(1874年第1稿)。なんといっても目をひくのは「ロマンティック」が一般的な第2稿ではなく、1874年の第1稿で演奏される点だろう。両者ははっきりと異なる音楽だ。同じ主題を用いながみ、まずはバロックもので認められたヨンチェヴァ。コロラトゥーラの技を保ちつつ、近代イタリアの烈しいオペラも得意とする彼女、その一番の美質は「集中力」である。女優の吉田羊のように神秘性と親しみやすさを併せ持ち、込み入った音型も剛球のフレーズも全力で歌う彼女は、まさしく「21世紀のディーヴァ」の座に登りつつある存在なのだ。 7月に初来日を果たすヨンチェヴァ。オーケストラ(ナイデン・トドロフ指揮東京シティ・フィル)とともに、《ノルマ》の〈清らかな女神〉や《運命の力》《トスカ》《蝶々夫人》などから名アリアを披露する。歌姫の「絶頂期」はいま! お聴き逃しなきように。左より:フランソワ゠グザヴィエ・ロト/ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団 2点とも ©️Holger Talinskiらも、その展開は大きく違う。第3楽章スケルツォに至ってはまったく別の音楽だ。まるで音楽のパラレルワールドを旅するような新鮮さを味わえるはず。また、モーツァルトでの河村尚子との共演もどんな化学反応が起きるのか楽しみ。この夏、最大級の話題を呼ぶ公演になるのでは。文:岸 純信(オペラ研究家)©️Victor Santiago文:飯尾洋一35フランソワ゠グザヴィエ・ロト(指揮) ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団名匠が世に問う新鮮なブルックナー体験 コロナ禍以来、ごくわずかな例外を除いて来日オーケストラの公演が途絶えてしまっていたが、7月、ついにドイツからケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団が来日する。1827年に設立され、ブラームスやマーラーの作品も初演したという歴史あるオーケストラだ。現在は毎シーズン約50回の公演を開きつつ、ケルン歌劇場のオーケストラとしても活動している。指揮を務めるのは、現在のカペルマイスターでありケルン市音楽総監督のフランソワ゠グザヴィエ・ロト。ロトといえばピリオド楽器のオーケストラ、レ・シエクルの創設者として名高いが、モダン・オーケストラとも活発な活動をくりひろげており、2015/16シーズンよりケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団を率いている。レコーディング活動にも積極的で、同コンビによるブルックナーの交響曲全集シリーズがスタートしている。 7月3日、東京オペラシティ コンサートホールで開かれる公演でロトが用意

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