eぶらあぼ 2022.6月号
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コロナ禍も3年目。ぶらあぼ編集部では多くの音楽家が吹奏楽部の苦難の状況を語るのを耳にしてきました。そこで吹奏楽と言えばこの方、吹奏楽作家のオザワ部長に登場いただき吹奏楽部を応援する企画を始めます。まだマスクが取れない日々ですが、音楽へひたむきな情熱を燃やす若者の姿は、見ている私たちも元気にしてくれます。 埼玉県のさいたま市立浦和高等学校吹奏楽部の3年生で、部長を務めるバリトンサックス担当・当麻野乃(たいまのの)は悩んでいた。「せっかく楽しい曲なのに、私たちが演奏すると、なんだかつまらなくなっちゃうな……」 市立浦和は、いまだ果たしたことがない全日本吹奏楽コンクール(全国大会)出場を目指している。そのためには、課題曲と自由曲を合計12分以内で演奏し、地区大会・県大会・西関東大会の各大会で代表に選ばれなくてはならない。これまで市立浦和は西関東大会で金賞(成績上位の団体に与えられる)を4回受賞している強豪バンドだが、たった3枠の代表校には選ばれたことがなかった。「高校生活最後の年は、全国大会に出て金賞をとりたい」 それは野乃たち3年生の共通する願いだ。 だが、コンクールに向けて課題曲に選んだ奥本伴在(ともあり)作曲《サーカスハットマーチ》を合奏するものの、思うような演奏にならない。 そんなとき、ぱんだウインドオーケストラのコンサートと前日のリハーサルを見学できる、という話が舞い込んできたのだった。取材・文・写真:オザワ部長(吹奏楽作家)         ♪ コンサートマスターの上野耕平(サクソフォン)を中心に活躍する若手プロ吹奏楽団のぱんだウインドオーケストラは、4月28日、世界を股にかけて活躍する山田和樹を指揮に迎え、所沢市民文化センター ミューズでコンサートを開催することになっていた。しかも、チケット購入者は前日の公開リハーサルを見学できる特典付きだ。公開リハーサルを見学 曲目には、吹奏楽の名曲《アルメニアン・ダンス パートI》(アルフレッド・リード)などのほか、今年度の吹奏楽コンクール課題曲全曲も含まれていた。32vol.1 さいたま市立浦和高等学校 吹奏楽部

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