eぶらあぼ 2022.6月号
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SACDSACDCDCD110ショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番 他/横山幸雄高崎芸術劇場 大友直人Presents T-Shotシリーズ vol.6 上野通明 IN CONCERTJ.S.バッハ:無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調(チェロ版)/ヒンデミット:「ピアノとチェロのための3つの小品」より〈第2曲 幻想小曲〉/ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第2番/ドビュッシー:チェロ・ソナタ ニ短調/プーランク:チェロ・ソナタ FP143上野通明(チェロ)須関裕子(ピアノ)オクタヴィア・レコードOVCL-00782 ¥3520(税込)シベリウス:交響曲第7番 他/ニコラス・コロン&フィンランド放送響たかの舞俐 In a Different Way昨年デビュー30周年を迎えた横山幸雄による、2022年1月のサントリーホール公演のライブ録音。デビュー公演と同会場で同じ協奏曲を弾く記念企画で、共演は若き日から舞台を共にする指揮者の大友直人、そして盟友・矢部達哉がソロ・コンサートマスターを務める東京都交響楽団。やわらかく輝く音、ナチュラルな抑揚で歌われてゆくショパンには、長年この作曲家に向き合い体になじませてきたピアニストならではの、確信に満ち、同時に肩の力を抜けた、爽やかな情感があふれている。オーケストラの演奏からも、ピアニストの音楽に敬意を持って寄り添う気持ちが伝わってくる。(高坂はる香)パラグアイに生まれ、幼少期をスペイン・バルセロナで過ごした上野通明。その出自同様、非常に国際色豊かな活躍を見せるチェリストだ。ジュネーヴ国際音楽コンクール・チェロ部門で日本人初の優勝を果たし、併せて3つの特別賞を受賞するなど数々の国際コンクールで上位入賞を重ね、その実力が世界的に高く評価されている。本ディスクはそんな上野の豊かな音楽性を存分に味わえる幅広い楽曲を収録。バッハやベートーヴェンでの立体的な音楽づくり、ヒンデミットやドビュッシー、プーランクでの繊細なニュアンスの変化など、隙のない演奏が力強い存在感を示している。(長井進之介)イギリスの俊英ニコラス・コロンと名門フィンランド放送響のCD第1弾はオケ得意のシベリウス。交響曲第7番は、冒頭から拡がりを感じさせる雄大な表現で、晩年の作品世界に引き込む。スケルツォのうねるような内声も後半の爽やかな旋律も、最後の頂点の後の清澄な余韻も才能の煌めきを感じさせる。組曲「ペレアス」〈城門にて〉の暗い未来を暗示する荘重壮大な響きで、シベリウスらしいオーケストレーションの巧みさを浮き彫りにする。〈メリザンドの死〉のしみじみとした悲哀から激しい慟哭に至る構築の巧さも光る。組曲「クリスティアン2世」は、初期の明快さを小気味よく表現して秀逸。(横原千史)私たちの日常に溢れるいろんな音楽を、たかの舞俐は語法の一部として、自らの個性に接ぎ木していく。現代音楽の素地にジャズや民族音楽、ミニマリズム、フュージョンといった様々な要素がミックスされたその世界は、単純な言葉では補足できない現代人の複雑な情感を描いており、そこにアクチュアルな同時代性が見える。それぞれの曲にクリアなイメージがあるが、とりわけ本作では、長年にわたり心血を注いだオペラ《ゲルダ(雪の女王)》を抜粋してアレンジした室内楽作品が多くを占めており、これがいかに彼女にとって大仕事であったかをうかがわせる。いずれオペラ全曲版を聴きたいものだ。(江藤光紀)ショパン:ピアノ協奏曲第2番、同第1番、アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ横山幸雄(ピアノ)大友直人(指揮)東京都交響楽団シベリウス:交響曲第7番、組曲「クリスティアン2世」、組曲「ペレアスとメリザンド」ニコラス・コロン(指揮)フィンランド放送交響楽団Ondine/ナクソス・ジャパンNYCX-10305 ¥2970(税込)たかの舞俐:Schneekoenigin’s Arie、Remnants of Love、Elegy、Corridors of Light、In a Different Way 他松本寛子(フルート) 土橋庸人(ギター) 坂本朱(メゾソプラノ) 藤村俊介 笹沼樹(以上チェロ) 野口千代光 花田和加子 鈴木舞(以上ヴァイオリン) 會田瑞樹(ヴィブラフォン) 中川俊郎(ピアノ) たかの舞俐(指揮) 他収録:2021年11月、北とぴあ・つつじホール(ライブ) 他フォンテックFOCD2587 ¥2669(税込)収録:2022年1月、サントリーホール(ライブ)ソニーミュージックSICX-10014-5(2枚組) ¥3300(税込)

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