eぶらあぼ 2022.6月号
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CDCDCDCD106バッハ/シューマン/雄倉恵子こだま号で行こう! 木下大輔ピアノ作品集/堀江真理子&前田拓郎東京藝大からフライブルク国立音大に学んだ実力派ピアニスト、雄倉恵子。古典のみならず、時にポップアルバムを制作するなど、しなやかな活動を続けている。今回取り組んだのは、バッハとシューマン。モダン・ピアノによるバッハには、必要以上に拍節を強調する演奏も多いが、雄倉は最低限のバロックの作法を弁えつつ、常に推進力を帯びて流れが滞らない。そして、シューマンは時に、伸びやかな音楽創りが、大空へ羽ばたくかのよう。バッハを敬愛したシューマンの音楽に先達を感じさせるだけでなく、バッハの中にシューマンを予見する気にさせるのは、彼女ならではの魔法だ。(笹田和人)元・名古屋フィルの首席オーボエ奏者で、現在は愛知室内オーケストラの客演首席、ソリストとして活躍する山本直人と、コンポーザー・ピアニストの岩瀬貴浩によるユニット「GARDEN WINDS」のデビュー・アルバム。収録された14曲すべて岩瀬のオリジナル作品である。楽曲はどれも映像のバックなどに合いそうなメロディアスで美しい音楽。しみじみとして訴求力のあるオーボエと、煌めくようなピアノで表現されていく各曲は、聴く者の心に寄り添い、優しい気持ちにさせてくれる。なかでも哀感漂う「追憶の日々」や、最初に山本が聴いてユニット結成に繋がったという「帰り道」は特に印象深い。(柴田克彦)首席指揮者バーメルトと札幌交響楽団の共同作業の充実ぶりを示す、昨年秋の「ワルツ」をテーマとした定期演奏会の録音。彼らとしては少し意外な企画だが、クリアな音で各パートを明瞭に歌わせて、外連味なく誠実に構築することで、作曲家が「ワルツ」に求めていたであろう“品格”を感じさせ、その魅力と本質を浮かび上がらせる。ライブとは違う曲順のフランス、スラヴ、ウィーンというアルバムとしての流れもいい。どの曲も好演だが、やはりウィーンの3曲、殊に《ばらの騎士》の儚い洒脱さ、「ラ・ヴァルス」の節度が保たれた威容に、彼らの現在の境地がよく示されている。(林 昌英)1966年生まれ。子どもから愛好家まで対象としたピアノ小品の作曲をライフワークとする木下大輔の作品集。「24の抒情的小品」(独奏)は初級レベルから高度な内容まで2分程度の珠玉の楽曲の集まり。大人の“悪戯”(ブルレスク)もあれば、メヌエットもイワトビペンギンの舞いも“アンチな”行進曲もプロヴァンス風もウィンナ・ワルツも渋谷の雑踏までもが、変幻自在に登場して多彩。「音楽の旅―ピアノ連弾のための6つの小品―」もマンハイムの打ち上げ花火→空の雲→シチリアーナ→ポルトガルの夕焼け→先生と子どものデュオ→旧国鉄のこだま特急を巡る楽しい旅路。(東端哲也)J.S.バッハ:主よ 人の望みの喜びよ(高橋悠治編)、パルティータ第4番/シューマン:クライスレリアーナ、トロイメライ雄倉恵子(ピアノ)コジマ録音ALCD-7279 ¥3080(税込)ナミ・レコードWWCC-7964 ¥2750(税込)ベルリオーズ:「幻想交響曲」より第2楽章〈舞踏会〉/ドヴォルザーク:プラハ・ワルツ/チャイコフスキー:「くるみ割り人形」より〈花のワルツ〉/J.シュトラウスⅡ:ワルツ「美しく青きドナウ」/R.シュトラウス:《ばらの騎士》より〈ワルツ・シークエンス第2番〉/ラヴェル:ラ・ヴァルス 他マティアス・バーメルト(指揮)札幌交響楽団収録:2021年11月、札幌コンサートホールKitara(ライブ)フォンテックFOCD6051 ¥3080(税込)木下大輔:24の抒情的小品、音楽の旅―ピアノ連弾のための6つの小品―堀江真理子 前田拓郎(以上ピアノ)Remembrance/GARDEN WINDS岩瀬貴浩:Calling You、彩風、Shine、追憶の日々、大切なあなたへ、ホワイト・ロマンス、もう一度笑顔、星空の下で、眠れぬ夜は、午前5時の目醒め、君を迎え 送る春、Friends、帰り道、大丈夫GARDEN WINDS【山本直人(オーボエ) 岩瀬貴浩(作曲/ピアノ)】妙音舎MYCL-00023 ¥3300(税込)The Waltz 夢幻∞ワルツ/マティアス・バーメルト&札響

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