eぶらあぼ 2022.04月号
64/145

4/10(日)14:00 中板橋 マリーコンツェルト問 マリーコンツェルト chihirokasumi.tabiji2022@gmail.comhttps://chihiroinda.com https://www.kasumiyamamoto.com61と勝利の凱歌を描いたとされる。前半の“糸杉”はオルガン独奏、後半の“月桂樹”は金管の輝かしいファンファーレに始まり、最後はオルガンと管弦楽の勇壮な行進曲となる。若い頃にバレエを習っていた井上は舞踊音楽を得意とする。ファリャ「三角帽子」とラヴェル「ボレロ」は、すみだクラシックへの扉 第7回 5/13(金)、5/14(土)各日14:00 すみだトリフォニーホール問 新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 https://www.njp.or.jp井上道義 ©Yuriko Takagi印田千裕 ©小島竜生ショーソン「詩曲」で、あえてソナタ以外の名品たちからデュオの魅力を確認していく。後半はソナタ2曲で、ラヴェルのト長調、そしてベートーヴェン「クロイツェル」。初回から同編成の頂点というべき「クロイツェル」を選んだことに並々ならぬ意欲が感じられるし、対照的な音楽を林 英哲 ©M.Tominaga卓越したリズム感と色彩豊かな指揮に期待したい。これら3曲は井上が様々なオーケストラで指揮してきた十八番のレパートリーでもある。スペクタクルでドラマティックな作品での情熱的な指揮は、これまで数々の名演を生んできた。井上道義の円熟のタクトを味わいたい。もつラヴェルと並べる趣向も面白い。 会場は昨年開設されたばかりの中板橋 マリーコンツェルトで、永田音響設計による音響も楽しみだ。コロナ禍という困難な時期に改めて大切な出会いを果たしたふたりの想い、同じ空間で共有したい。文:長谷川京介文:林 昌英石丸由佳山本佳澄井上道義(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団オルガン、和太鼓との競演で壮大に描く音のスペクタクル 井上道義は2024年12月末での引退を宣言した。最近は本当に指揮したい作品を選び、これが最後と凄みのある演奏を展開、その姿は鬼気迫るものがある。5月13日、14日の新日本フィル「すみだクラシックへの扉」は井上が選んだ創意あふれるプログラム。 新実徳英が1997年にすみだトリフォニーホールからの委嘱で書いた「和太鼓とオルガンとオーケストラのための『風神・雷神』」の再演がまず目を惹く。和太鼓の林英哲とオルガンの石丸由佳が登場し、オーケストラとともに大自然の中に身を置くような雄大な演奏を繰り広げる。和太鼓やオルガン本来の響きはホールの空間でしか味わえない。「風神・雷神」という名にふさわしい巨大な音響を体験できることだろう。最後の和太鼓とオルガンのスリリングなアドリブがどのようなものとなるのかも興味深い。 1曲目のサン゠サーンス「糸杉と月桂樹」は、第一次世界大戦の犠牲者の鎮魂印田千裕 & 山本佳澄 ヴァイオリン & ピアノ デュオコンサート〜ソナタを巡る旅路 Vol.1〜朋友同士の意欲的なデュオ・シリーズ、この春スタート! 東京藝術大学から英国王立音楽院に学び、国際コンクールで入賞を重ね、ソロに室内楽、邦人作品の紹介など、しなやかな活動が光るヴァイオリンの名手、印田千裕。この4月から、東京藝大附属高校の同級生だった山本佳澄(ピアノ)とともに、デュオコンサート・シリーズを開始する。 山本は同大学院を修了後、ハンガリー国立リスト音楽院に留学、N響メンバーとの共演など名演奏家たちの信頼厚いピアニストである。印田によると「コロナ禍で音楽家としてどう生きるのか考えさせられた時期に再会し、この先も一緒に音楽したい」と思うようになったという。「あらためて『ヴァイオリンとピアノのためのソナタ』に向き合い、演奏したい。私たち独自の視点で味わい深い旅路にしていきたい」と意気込みを語る。 ふたりの最初の曲は、山本の留学先であり、印田の恩師ジョルジュ・パウクの故郷でもあるハンガリーにちなみ、バルトークの「ラプソディ第1番」を。続いては

元のページ  ../index.html#64

このブックを見る