eぶらあぼ 2022.04月号
59/145

4管編成のオーケストラを駆使した豊穣な音響と細やかな描写は、近代オーケストラが到達したひとつの極限といえる。ヴァイオリン・ソロは、都響の顔、ソロ・コンサートマスターの矢部達哉。愛に満ちた旋律を極上の音色で奏でてくれるはず。56都響スペシャル 4/21(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール第948回 定期演奏会Aシリーズ 4/22(金)19:00 東京文化会館問 都響ガイド0570-056-057 https://www.tmso.or.jp解放してもらえそうな夜の部の「ほぐれる」。 ビー・ジーズの「愛はきらめきの中に」や映画『ロミオとジュリエット』『禁じられた遊び』や武満徹編曲の「イエスタデイ」など、昨年末にリリースしたベスト・アルバム『ミュージック・ギフト・トゥ』の収録曲を軸に、ブローウェルやタレガのギター名曲から村治の自作までバラエティ豊かな選曲で、彼女のエレガントな音色で奏でる丁寧な歌が聴ける。「ととのう」 5/4(水・祝)14:00 「ほぐれる」 5/4(水・祝)18:00第一生命ホール問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 https://www.triton-arts.net大野和士 ©Fumiaki Fujimoto藤田真央 ©EIICHI IKEDA 矢部達哉 ©T.Tairadate これら2作をニュアンス豊かに、引き締まった指揮でまとめ上げる大野は、2015年の音楽監督就任以来、国際的なオペラ・プロジェクトや現代曲を含む多彩な選曲でその関係を深めてきた。今回はロマン派の極み。幻想と官能の響きがホールを満たすだろう。©Ariga Terasawa 9月の第2弾は、ヴァイオリンの石田泰尚をフィーチャーしたリサイタルと弦楽四重奏の2本立て。私たちをわくわくさせるシリーズの始まりだ。文:柴辻純子文:宮本 明大野和士(指揮) 東京都交響楽団シーズン幕開けにふさわしいドイツ・ロマン派傑作選 陽光まぶしい季節到来。東京都交響楽団の2022年度シーズンは、音楽監督・大野和士の指揮で、シューマンとR.シュトラウス、ドイツ・ロマン派の傑作で開幕する。シューマン「ピアノ協奏曲」のソリストは、若手トップをひた走る藤田真央。2019年6月、弱冠20歳でチャイコフスキー国際コンクール第2位に入賞以来、その勢いは止まらない。コロナ禍をものともせず、国内外の数々のコンサートで実力を発揮し、今年2月の欧州・イスラエルのツアーも成功させたばかりだ。シューマンは、独奏ピアノとオーケストラが一体となってシンフォニックな響きを作り出すピアノ協奏曲。ロマンティックでファンタジー溢れる世界をどのように描くのか。さらりと弾いているようで細部まで目を行き届かせている藤田の演奏に期待が高まる。 後半のR.シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」は、一連の交響詩の最後に位置する自伝的な色あいの強い作品。ごほうびクラシック 第1回 村治佳織 ギター・リサイタル昼夜異なるテーマで心と身体に癒やしの音楽を 人気ギタリスト村治佳織が登場して5月にスタートする、第一生命ホールの新たなコンサート・シリーズ「ごほうびクラシック」。 音楽は、こわばった心と身体をリフレッシュさせてくれる、なによりのご褒美。長引くコロナ禍の中、頑張りつづける自分や親しい人たちへの贈り物にしてほしいというのが「ごほうびクラシック」のコンセプトだ。誰もがリラックスできるよう、聴きなじみのある曲も交えた60分間のプログラム。用心のためにコンサートから少し足が遠のいていたという人のリスタートの機会としても最適だろう。 村治が出演するシリーズ第1弾は昼夜別プログラムの2回公演。それぞれに異なるテーマが掲げられている。穏やかにゆったり楽しめる曲で気分を整えて、夕方からもうひと頑張りできそうな昼の部の「ととのう」。親しみ深いメロディに浸って、心身ともにやさしく

元のページ  ../index.html#59

このブックを見る