eぶらあぼ 2022.04月号
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55Hakuju サロン・コンサート vol.7 中野翔太 & 松永貴志 & 田中拓也初共演! 異才トリオが贈るJazzy(ジャジー)な夜5/27(金)19:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 https://hakujuhall.jp中野翔太 ©Taira Tairadate Hakuju サロン・コンサートは意表を突くようなアーティストの共演や斬新なプログラムが組まれることで聴き手の心をわくわくさせるが、5月27日に行われるvol.7もとても興味深いトリオが登場する。 クラシックのピアニストとして王道をいく作品から発し、現在はジャズ演奏まで幅を広げている中野翔太、世界10ヵ国ツアーを敢行したジャズ・ピアニストで作曲家の松永貴志、クラシックとジャズを同時に習い始めたサクソフォンの田中拓也。この3人が初共演。「異才トリオが贈るJazzyな夜」と題したコンサートで、ドビュッシー、坂本龍一、M.ジャクソン、S.ワンダー、ガーシュウィンなどの曲を熱く聴かせる。中野「僕が1999年からニューヨークのジュリアード音楽院に留学しているときにひょんなことから松永さんと出会い、その瞬間に意気投合して一緒に演奏してみたんです。それがすごく居心地がよくて自然で、こんなに合うピアニストがいるなんて、と驚きました。以後、ふたりでデュオコンサートなども行い、僕はジャズの道に少しずつ分け入ったわけです。ニューヨークにいたころはビル・エヴァンスの録音を聴いたり、ヴィレッジ・ヴァンガードで演奏を聴いたりしてジャズの世界へと少しずつ進み、即興などにも興味を抱き、松永さんからジャズの理論書をもらって勉強していました」松永貴志松永「僕はニューヨークで自由な生活を送っていたとき、たまたまジュリアード音楽院のカフェにアジア系の人がいると思って声をかけたら中野さんで、すぐに一緒に演奏するようになりました。当時はタワーレコードに入り浸り、一日中ヘッドフォンで音楽を聴いていました。最初、中野さんはクラシックのピアニストだと思って自分とは考えがかけ離れているかと思ったのですが、“いいものはいいよね”という一貫した思考の持ち主なので、とても気が合います。ニューヨークで出会ったのがよかったのかも」 そんな中野と田中は、松永を称して「自由人」と表現する。田中「4年ほど前から何度もデュオコンサートをしている中野さんから声をかけてもらい、参加することになりました。子どものころはピアノを習っていましたが、15歳のときにサクソフォンを始め、以来サクソフォンひと筋です。2台のピアノとサクソフォンという贅沢で前例のほぼない編成、そしてジャンルレスな音楽が好きだという共通項のある3人の化学反応が今から楽しみです。僕は昔からラジオをよく聴くタイ田中拓也 ©Ayane Shindoプで、好き嫌いなく、いろんな音楽に興味がありました。なかでもハーモニーの美しい曲に魅了されますね」 田中は一見おだやかな語りや表情をしているが、メンバーにいわせると「演奏が始まるとスイッチが入り、荒々しさから繊細で洗練された響きまで多彩な音色が表現される」。 コンサートは、ソロあり、デュオあり、トリオありと、変化に富むプログラム構成だ。松永「ひとりが弾いていると、他の人が違う曲で乱入したりするのもいいんじゃない」中野「枠を作らずに、あくまでも自由にそれぞれの個性が発揮できる感じにしたい」田中「初共演だから、すべてが未知数。3人という人数は、会話のように即興的に音楽が作れる編成だと思うのでジャンルも役割もころころ自由に変わるライブ感たっぷりのコンサートになると思います」松永「僕が作るのはほとんど変拍子。4分の4拍子とか、考えたことないもん」 予測不可能で刺激的な夜になりそうだ。取材・文:伊熊よし子Interview中野翔太(ピアノ) & 松永貴志(ピアノ) & 田中拓也(サクソフォン)異才トリオの初共演は予測不可能なステージ

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