eぶらあぼ 2022.04月号
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5/14(土)14:00 J:COM浦安音楽ホール コンサートホール問 J:COM浦安音楽ホール047-382-3035J:COM浦安音楽ホール 開館5周年記念公演 仲道郁代 ピアノ・リサイタル節目の年に贈る豪華プログラムはベートーヴェンとショパンを中心に文:飯田有抄 J:COM浦安音楽ホールは、JR新浦安駅から徒歩1分という立地にある、クラシック音楽のための本格的なコンサートホールだ。2017年4月の開館から、まもなく5周年を迎える。ホールはスタインウェイ(D274)とヤマハ(CFX)という最高峰のフルコンサートグランドピアノ2台を常設しているが、この2台の楽器を選定したのがピアニスト仲道郁代である。複数台の楽器の中から、300席のホールの特性にぴったりなピアノを入念に選び抜き、開館時には「ピアノ開きコンサート」と題してスタインウェイの素晴らしい音色を響き渡らせた。 その仲道が、5月に「開館5周年記念公演」として同ホールでリサイタルを行う。使用するのは「ピアノ開き」のワークショップでも使用したヤマハである。楽器とは、使用され、愛されることで、生き物のように変化してゆく。45東京オペラシティシリーズ 第127回5/14(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール名曲全集 第177回〈前期〉5/15(日)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 https://tokyosymphony.jp仲道自身によって丁寧に選定された楽器が、この5年でどのように成長・変化を遂げたのか、あらためてじっくりと耳にすることができる機会だ。仲道といえば、鍵盤楽器の歴史や構造への想いが深く、ピリオド楽器とモダン楽器とを自在に行き来して演奏するピアニスト。そんな彼女だからこそ、ホールに馴染み始めたピアノの魅力を、一層引き出すことができるだろう。 曲目はベートーヴェンの「月光」「テンペスト」、ショパンのバラード第1番や幻想即興曲など。ホール・楽器・奏者の三者が生み出す美しい時間をゆったりと過ごしたい。ジョナサン・ノット ©K.Miuraり、ブラームスの交響曲第3番。一度聴いたら忘れられない哀愁に満ちた第3楽章の旋律をはじめ、作曲家の魅力がコンパクトに詰まった傑作だ。ノットはドイツの古都・バンベルク響のシェフを長く務めた経験があり、いわば本場仕込み。東響とのヨーロッパツアーでもブラームス(第1番)は高い評価を得ている。 万難を排し来日するノットとの絆は、コロナ禍でかえって深まったようにも見える。このコンビならではの、シャープで緻密、すっきりと耳に入ってきて、しかし同時に深い味わいを残すブラームスとなるのではないか。©Kiyotaka Saito文:江藤光紀大木麻理ジョナサン・ノット(指揮) 東京交響楽団近現代フランス作品をブラームスと併せた独創的なプログラム ジョナサン・ノットの東響音楽監督も9シーズン目に入った。5月にはいつものように魅力的なプログラムをひっさげて、指揮台に戻ってくる。 14日(東京オペラシティ)、15日(ミューザ川崎)は、透明感あふれる東響サウンドが「牧神の午後への前奏曲」(ドビュッシー)の幻想的な世界を描きだして始まり、フランスの大ベテラン作曲家、パスカル・デュサパンの近作「WAVES」へと続く。オルガンが妖しい魅力を発しながら、カオティックなオーケストラと協奏を繰り広げる話題作だ。ハンブルクの新しいコンサート・ホール、エルプフィルハーモニーで2020年1月に初演された後、モントリオール、パリ、ジュネーヴ、リヨン、ドレスデンと各地で再演されており、デュサパンの代表作になりそうな予感。ノットもこの曲を複数回振っており、日本初演ではさらに深堀りしてくるだろう。独奏はミューザのホールオルガニスト・大木麻理。ドイツ仕込みの才媛だ。 後半はフランスから隣国ドイツに移

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