第739回 東京定期演奏会〈春季〉 4/1(金)19:00、4/2(土)14:00 サントリーホール問 日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 https://japanphil.or.jp第15回 安川加壽子記念会演奏会 〈2022 安川加壽子生誕100年〉大功労者のアニヴァーサリー・イヤーに記す偉大なる業績 安川加壽子の名は、古くからの音楽ファン、いや今もピアノ関係者ならば、知らない人はいないだろう。彼女は、東京藝大等で数多の奏者を育てた戦後ピアノ教育の第一人者、および名ピアニストとして、1996年の急逝まで日本の音楽界を力強く牽引した。その多大な功績を後世に伝えるべく、門下生を中心に結成されたのが〈安川加壽子記念会〉。当会では演奏会を長年行ってきた。そして15回目となる今年は安川の生誕100年の記念の会として、盛大かつ意義深い公演が開催される。 まず、プレ・コンサートでは、1950~60年代の生徒発表会を再現。安川の孫弟子等の子どもたちが演奏し、かつて発表会に出演した木村かをりと青柳いづみこが思い出を語る対談も行われる。続くメイン・コンサートは、現在活躍中の門下ピアニストが出演し、安川が本邦初演した作品中心のプログラムを披露。平尾はるな、浜口奈々、岡本474/15(金)プレ・コンサート 17:00 メイン・コンサート 19:00東京文化会館(小)問 新演コンサート03-6384-2498 http://www.shin-en.jpで書いたという共通項も持つ。 もっとも、同じ第4番といってもシューマンとブラームスでは位置づけがずいぶん異なる。シューマンの交響曲第4番は、実際には2番目に書かれた交響曲で、後に改訂されて出版された際に第4番の番号が付いた。作曲は1841年、まだシューマンは31歳で、クララとの結婚の翌年にあたる。若き日のパッションと後年の成熟した筆が渾然一体となっている。一方、ブラームスの交響曲第4番は作曲者最後の交響曲。巨匠の到達点ともいうべき独自の境地が開かれる。傘寿を越えたマエストロが日本フィルとともにどんな音楽を生み出してくれるのか。このコンビでなければ実現できない深い味わいを堪能したい。愛子、井上二葉(今年92歳!)のソロ、巨匠ジェラール・プーレ(客演ヴァイオリン)と堀江真理子、秦はるひと多美智子の各デュオ、三舩優子、青柳いづみこ、菅野潤の2台6手と、演奏者には斯界の重鎮や名手がズラリと顔を揃える。演目は、ラヴェルをはじめ安川ゆかりのフランスの名作が主軸をなしていて、その偉業に驚かされるし、平尾はるなによる父・平尾貴四男の作品、最後の3人によるファリャの「スペインの庭の夜」も実に興味深い。それに何よりこれだけの小林研一郎 ©山本倫子安川加壽子ベテラン奏者の演奏を一夜で聴けること自体が極めて貴重。また会場では安川の資料も展示されるので、この機会に幅広い視点で比類なき業績を見直したい。文:飯尾洋一文:柴田克彦小林研一郎(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団巨匠のタクトで聴くふたつの「第4番」 この4月、春の訪れとともに日本フィルに熱い風を吹き込むのが桂冠名誉指揮者の小林研一郎。シューマンの交響曲第4番とブラームスの交響曲第4番を組み合わせた重厚なプログラムを披露する。ドイツ・ロマン派を代表するふたりの作曲家によるダブル「第4番」プログラム。聴きごたえ十分の傑作が並んだ。 シューマンとブラームスといえば師弟関係で結ばれたふたり。若き日のブラームスは名ヴァイオリニストのヨアヒムの助言に従って、デュッセルドルフのシューマン夫妻を訪れた。シューマンは若者が持参した作品とその卓越したピアノ演奏に驚嘆し、自らが創刊した『新音楽時報』に「新しい道」と題した一文を寄せてブラームスを絶賛した。やがてブラームスはシューマン夫人であるクララとの結びつきを深めたこともあって、この師弟は語られることが多い間柄だ。ともに交響曲を第4番ま
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