ぶらあぼ2022年3月号
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第11回 音楽大学フェスティバル・オーケストラ9つの音大の選抜メンバーが、ひとつの音楽を創るまた、併せて演奏される三善晃の「祝 災禍にある今こそ、高い志を持った典序曲」は、1970年の大阪万博の開会若者たちが紡ぐ、瑞々しい響きに触れたい。首都圏の9つの音楽大学が、式で披露された、華やかな作品だ。互いの協力と交流を目的に毎年開い 「若い時にしかできない演奏があている「音楽大学オーケストラ・フェスると思う」。深い洞察と熱いパッショティバル」。その“特別編”である「音楽ンを併せ持つ知将・下野は綴っている。大学フェスティバル・オーケストラ」は、「とっくにオジサンだけど、まだおじ各大学の選抜メンバーで構成され、覇いさんじゃない指揮者と、若い彼らと気ほとばしる熱演を聴かせている。のブルックナーを楽しんで頂けたらと 第11回の指揮には、下野竜也が登思う」。場。メインには、ブルックナーの「交響曲第4番」が置かれた。「ロマンティック」という副題を持つこの曲は、冒頭の印象的なホルン・ソロに始まり、雄大な自然への畏敬の念が込められた佳品。第10回 調布国際音楽祭 2022お昼のクラシック6/24(金)13:00 調布市グリーンホール問 チケットCHOFU 042-481-7222https://www.chofumusicfestival.com※廣津留すみれ出演403/26(土)15:00 ミューザ川崎シンフォニーホール問 ミューザ川崎シンフォニーホール044-520-0200 https://www.kawasaki-sym-hall.jp3/27(日)15:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296 http://www.geigeki.jp様々に試みてきたが、初めての共演はどうだったのだろうか。 「リハーサルでは、一人ひとりがどういう音楽を作りたいか意見を出してくださり、とてもオープンな雰囲気の中で曲を作り上げることができましたし、本番では後ろから流れてくる波動に乗っかって全身で演奏することができました。みなさんの一つの作品に向かっていく気持ちが音からよく伝わってきました」 一方、「シャコンヌ」は公開録音という形をとり、何度かテイクを重ねながら作り上げた。 「今回、録音を通して自分の音と改めて向き合えたのは貴重な体験でした。演奏を聴き返しながら、『自分の弾き方ってこういう特徴があるんだ』とか、『こういう風に聞こえているんだ』とか、新しい発見の連続でしたね」 小学生の頃から「学業と音楽を両立させると決めていた」という廣津留にとって、ハーバード大学はいろんな分野の友人と切磋琢磨できた理想的な環境CD『メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲/J.S.バッハ:シャコンヌ』N&F NF29601 ¥オープンプライス2/21(月)発売Interview廣津留すみれ(ヴァイオリン)ハーバード卒の話題のヴァイオリニストが弾き振りでCDデビュー取材・文:後藤菜穂子 廣津留すみれの名前を初めて知ったのは、ジュリアード音楽院の学生として欧州でのバッハ・コレギウム・ジャパンのプロジェクトに参加していた時だった。その後、著書『ハーバード・ジュリアードを首席卒業した私の「超・独学術」』を出したと知り、そのマルチぶりに驚嘆。卒業後は米国で起業したそうだが、コロナ禍以降は主に日本を拠点とし、今や著書3冊、テレビ朝日『羽鳥慎一モーニングショー』のコメンテーターも務めるなど、多方面での活躍はご存知のとおり。 その廣津留がこのたびメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲とバッハの「シャコンヌ」をカップリングしたファーストCDをリリースした。過去にもレコーディングには参加してきたが、ソリストとしては初めて。チャンスを与えてくれたのは、デア・リング東京オーケストラ(DRT)を主宰するプロデューサーの西脇義訓だった。昨年9月の公演で共演予定だったジョセフ・リンが来日できなくなった時に、西脇が以前、講演会で聴いて注目していた廣津留に代役をオファーしたのだ。 メンデルスゾーンは所沢市民文化センター ミューズでの演奏会のライブ収録で、廣津留の弾き振り。DRTは普段からコンサートマスターやトップを置かず、奏者たちを離したり、楽器ごとにまとめないなどユニークな配置をであったという。当初は音楽の道に進むつもりはなかったが、ある時ヨーヨー・マのシルクロード・プロジェクトに参加する機会があり、「教育や慈善活動などさまざまなプロジェクトに携わる彼の姿に感銘を受け、音楽をツールとして社会に貢献できる方法はこんなにもあるんだと気づき、私もやってみたいと思った」と話す。その視野の広さや柔軟な発想を活かし、クラシック界にも新風を吹き込んでくれるにちがいない。下野竜也 ©Naoya Yamaguchi文:笹田和人

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