ぶらあぼ2022年3月号
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第966回 サントリー定期シリーズ3/10(木)19:00 サントリーホール第145回 東京オペラシティ定期シリーズ3/11(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール第967回 オーチャード定期演奏会3/13(日)15:00 Bunkamura オーチャードホール問 東京フィルチケットサービス03-5353-9522 https://www.tpo.or.jp3/5(土)15:00 めぐろパーシモンホール 問 めぐろパーシモンホールチケットセンター03-5701-2904 https://www.persimmon.or.jp29フレッシュ名曲コンサート 鈴木優人 × 戸澤采紀 × 東京交響楽団清新に躍動し、春を誘う楽聖の2大傑作 若手演奏家をソリストに迎える「フレッシュ名曲コンサート」。3月に開催される公演には、ヴァイオリンの戸澤采紀が登場する。彼女は、2016年の第85回日本音楽コンクールで15歳にして最年少優勝を果たし、17年のティボール・ヴァルガ国際ヴァイオリンコンクールでも最高位(第2位)を獲得した逸材。すでに読響、東京シティ・フィル等の著名楽団と共演し、堂々たる演奏を披露している。しかも現在リューベック音楽大学で古楽にも通じた実力者ダニエル・ゼペックに師事。この点が更なる進化を予感させる。指揮は鈴木優人。バッハ・コレギウム・ジャパンや読響等にポストを持ち、鍵盤楽器演奏やプロデュース等々、モダンと古楽を縦断した多彩な活躍が際立つ才人だ。オーケストラは音楽監督ジョナサン・ノットのもとで充実を極める東京交響楽団。すべてに生気が漲る魅惑の布陣といえるだろう。 演目は、ベートーヴェンのヴァイオリれを東京フィルと共演したいと願うのは当然のことだ。 スメタナの「わが祖国」(全6曲)は第2曲「モルダウ」がよく知られているが、それ以外の5曲の背景にもそれぞれ深く長い物語があり、まさに作曲家の人生を賭けた作品でもあった。そこに深い共感を寄せる指揮者も多かったが、そうした過去の名演にとらわれることなくプレトニョフ独自の視点によって、この名作の新しい姿が描かれ鈴木優人 ©Marco Borggreveン協奏曲と交響曲第7番という極上の名曲2つ。まずは、艶やかな音色で生き生きとした音楽を奏でる戸澤が、優美かつ大スケールの傑作をいかに歌い上げるか? ドイツ留学の成果も含めて大いに注目される。むろん両曲を通じて、独自の視点を持つ鈴木と精緻な彫琢が持ち味の東響が展開するベーミハイル・プレトニョフ ©上野隆文るはず。2020年、21年と2度にわたって延期されたこの「わが祖国」全曲コンサートを、今度こそ味わいたい。戸澤采紀 ©SmileStyleStudioトーヴェン演奏に耳目が集まるのは言わずもがな。特に交響曲第7番の清新なリズム処理や躍動感に期待したい。 会場のめぐろパーシモンホールはキャパ1200席なので、通常以上に鮮烈な響きを味わえること必至。生体験するには絶好だし、本公演はライブ配信も行われるので、幅広い層に触れてほしい。文:片桐卓也文:柴田克彦ミハイル・プレトニョフ(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団名作の新しい姿に期待、巨匠との待望の公演が実現 東京フィルハーモニー交響楽団の3月定期には、2015年から特別客演指揮者として活躍するロシアの巨匠ミハイル・プレトニョフが登場する。プログラムはボヘミアの民族主義的音楽を代表する作曲家スメタナの「わが祖国」全曲である。 2003年に初めて東京フィルに指揮者として客演して以来、プレトニョフはその豊かな音楽的アイディアと卓抜な指揮ぶりで、数々の名演を残してきたが、そのプレトニョフが熱望していた作品が「わが祖国」であった。ピアニストとして活躍しながら、ロシアで初めてとなる民営オーケストラ「ロシア・ナショナル管弦楽団」を創設したプレトニョフ。そこには様々な困難があったと想像される。それを乗り越える時に、まさに「命を賭して」取り組んだ作品が「わが祖国」だったという。プレトニョフにとっては、彼自身の音楽人生において大きな意味を持つ作品であり、そ

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