ぶらあぼ2022年3月号
22/121

19岡本:はい、ドイツを離れられないタイミングだったので配信でいつも聴いていましたが、もう、自分のコンクールの比ではないほど緊張して。家の中で普通に部屋着のまま聴いてるけど、ハンカチを手に持ってましたよ。小林:えー、本当?!岡本:身内というか家族のように、楽しみで期待してるって意味も含めて、緊張はありましたね。ラウンドごとの結果発表とか、時間が押したりするし、まだかなまだかな、と。本人たちより、より何か変な緊張していたかもしれないです。僕もピアノが大好きな人間としてはショパンは憧れの作曲家でもあるし……いやぁ、すごいコンクールだよねぇ。反田:彼はピアノもめっちゃ上手いからね。ブラームスの「雨の歌」とか、ピアノ・パート弾いてもすごいよ。小林:え、そうなんだ! じゃあ岡本さんの前でピアノ弾くのちょっと怖いね(笑)——反田さんが務川さんを電話で励ましていたように、小林さんともお互いにコメントして支えあったりしたのでしょうか。反田:務川くんの演奏を電話で褒めてあげたのは、本当に演奏が素晴らしかったし、褒めるのってすごく大事だからなんですよ。それがね……(小林さんを指差して)けなしてきたりするんですよ〜(笑)——まずはそれぞれのコンクールについて振り返っていただきたいと思います。5月にエリザベートに出られた務川さん、いかがでしょうか?務川:僕はエリザベートで1次と2次の審査が終わったとき、どちらも一番に電話したのは反田でしたね。1次は終わって楽屋に戻った瞬間、すぐでした。実は少しへこんでたんです。演奏の配信が終わって1分後ぐらいだったから、電話に出た反田が「あ、配信のひとだ」って(笑)反田:電話の向こうから、次の人の演奏が聞こえてくるんで、すごくリアルだった。もう純粋に「良かったよ」という感想を伝えたし、心配させないのがやっぱりベストだと思うし、「なんであそこ、ああしちゃったの」なんていうのは言わなくていいかなと。いやでも、実際に素晴らしかったですからね。岡本:やっぱりコンクール中って自分の目標を高く設定して臨んでいるので、どうしても自分の演奏に対してネガティブになったり、落ち込みやすいんですよね。そういうときに信頼する人と話せると、きついコンクール期間中も必要以上にネガティブにならずに済みますね。——反田さんと小林さんは10月のショパン・コンクールで大活躍でした。務川さんはワルシャワに駆けつけて、反田さんの練習に立ち会われていたようですが、やはり仲間としてのサポートですか?務川:反田が頼んできてくれたからね。反田:もう単純にね、今まで2台ピアノのパートナーとしても活動してきたし、お互いの演奏っていうのを確認し合って成長してきているので、だからこそわかってくれるところもあるし。僕らはよく、「氷と炎」みたいにキャラクターが違うと言われたりするけど、だからこそ本当に信頼してる務川くんのオピニオンを聴きたかった。——岡本さんはお二人の演奏は配信で聴かれていましたか?

元のページ  ../index.html#22

このブックを見る