eぶらあぼ 2022.1月号
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57さくらホールコンサート “Don’t Stop The Music” 一夜限りの若者たちの祭典2022若きヴィルトゥオーゾが集結する一夜だけのスペシャル・ステージ文:林 昌英1/28(金)19:00 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール問 渋谷区文化総合センター大和田  03-3464-3252https://www.shibu-cul.jp 2020年に開館10周年を迎えた、渋谷区文化総合センター大和田。その「さくらホール」は渋谷区でも屈指の音響をもち、多くの名演奏家がその舞台に立ってきた。同年秋の10周年記念演奏会は「大和田祝祭管弦楽団」が結成されて成功を博し、それを引き継ぐ形で1月末、「一夜限りの若者たちの祭典2022」が開催される。 今回は18人の弦楽オーケストラが結成され、コンサートマスターは林周雅が務める。「題名のない音楽会」の企画「題名プロ塾」を勝ち抜き、審査ではサプライズを仕掛けるなど、確かな技術に発想力と度胸を併せもつ、頼もしい俊英だ。林以外の首席奏者には、バルトーク国際コンクールを制覇したクァルテット・インテグラの菊野凛太郎(第2ヴァイオリン)と築地杏里(チェロ)、元仙台フィル副首席奏者の飯野和英(ヴィオラ)、独自の好企画を実現する布施砂丘彦(コントラバス)と名手が並ぶ。他にも東亮汰、山田香子、佐山裕樹ら、ソロに室内楽に活躍中の奏者がそろい、高水準の熱い演奏が期待できる。 演奏会は休憩なしの約60分。期待の俊才・米田覚士の指揮で、チャイコフスキーの弦楽セレナード、ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番の2曲を。協奏曲のピアノは若手の名手・實川風、トランペットは日本フィル ソロ・トランペット奏者のオッタビアーノ・クリストーフォリで、旬のコンビの名技も楽しみだ。 “Don’t Stop The Music”と銘打たれた本公演。コロナ禍に翻弄され続けてきたアーティストたちが、渋谷でそのパッションを爆発させる。米田覚士イレブン・クラシックス vol.4 森谷真理(ソプラノ) & 山田武彦(ピアノ)バード・サンクチュアリ ~鳥たちは歌う~名手2人がつむぐ鳥たちの音楽文:室田尚子2/22(火)11:00 彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール問 SAFチケットセンター0570-064-939 https://www.saf.or.jp/arthall 彩の国さいたま芸術劇場で、平日の午前11時から始まる「イレブン・クラシックス」シリーズ。音楽ジャーナリストの林田直樹のナビゲートで、毎回魅力的な音楽を紹介しているが、4回目となる2022年2月22日には、今もっとも聴くべきソプラノ森谷真理が登場。06年、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場での《魔笛》夜の女王で一躍脚光を浴びて以来、ヨーロッパの歌劇場でキャリアを重ねてきた。日本では14年、びわ湖ホール《リゴレット》ジルダでデビュー。以後数多くのオペラで主役を歌い続け、今や日本のオペラ界における最高のソプラノといっても過言ではない。 そんな森谷が今回タッグを組むのは山田武彦。おそらく日本でソリストから指名される回数がもっとも多いピアニストの一人ではないだろうか。ソリストが求める表現を即座に理解し、さらにそれを上回る芸術性を実現してみせる山田のピアノもまた、日本のクラシック界において稀有なものである。 ふたりが披露するのは、 “鳥”にちなんだ作品。まず“鳥”をテーマにしているというのがユニークだが、選ばれた作品は国も時代も実にバラエティに富んでいる。モーツァルトあり、ラヴェルあり、メシアンあり、さらにアフガニスタンの伝承音楽まで、スタイルの異なる作品を集めてひとつのコンサートを作り上げられるのは、このふたりならではだ。ラジオのパーソナリティも務める林田の楽しいトークに導かれ、 あなたも“バード・サンクチュアリ(鳥たちの楽園)”に足を踏み入れてみてはいかがだろうか。實川 風 ©Hiromi Nagatomoオッタビアーノ・クリストーフォリ林 周雅山田武彦森谷真理 ©武藤 章

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