44近藤嘉宏 ©中村風詩人Hakuju サロン・コンサート vol.11 近藤嘉宏 & 外山啓介初共演の2人が魅せる 甘美な調べ2/8(火)19:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 https://hakujuhall.jp 近藤嘉宏(ピアノ)& 外山啓介(ピアノ)男性ピアニスト2人が贈る彩り豊かな世界取材・文:伊熊よし子Interview ソリストとして人気と実力を誇る近藤嘉宏と外山啓介が、ソロ曲を交えながら2台ピアノの演奏で初共演を果たすことになった。近藤「2台ピアノの演奏は何度か行っていますが、今回のようにまとまった形は初めて。決して付け焼刃的ではなく主従関係でもなく、男性2人でがっちり組み、心血を注いで演奏したいと思い、外山さんに声をかけました」外山「すごく光栄です。大先輩と一緒に演奏できるのは大いなる勉強の場となりますから」 プログラムはドビュッシー(デュティユー編)のベルガマスク組曲より「月の光」で幕開けし、各自のソロに続きラフマニノフの組曲第2番より「タランテラ」で前半を閉じる。後半は、メインのブラームスの交響曲第4番(作曲者自身の編曲による2台ピアノ版)が登場する。近藤「ソロには絵画的な要素を含む作品を選びました。プログラム全体は彩り豊かな構成となっていますが、バランスが取れていると思います」外山「リストのバラード第2番は高校時代、演奏に行き詰まっていたときにホルヘ・ボレットの演奏を聴き感銘を受け、この曲を弾きたいからまだピアノはやめられないと思った特別な曲です」 ブラームスの交響曲第4番については両者が「これぞブラームス」と言い、熱く語る。近藤「僕は数年前に体調を崩してピアノが弾けない時期があったのですが、そのころにブラームスの作品が内包する諦観のような表現が理解できるようになったのです。そこで今回はこの曲を外山さんと地に足をつけたかたちで、完成度の高い演奏を目指したいと思っています」外山「ブラームスは崇高すぎて簡単に入っていけない分野だと考えています。だからこそ、今回は演奏を通じて何かがつかめると期待しているのです。僕も今年はあまりいい年ではなく、壁にぶつかってしまった。それを払拭する意味でも、全力で取り組みます」 音楽家は幼いころから演奏ひと筋。壁にぶつかり、それを乗り越え、新たなる視点を見つけてひたすら前に進む。2人ともいろんな人生経験を経て、それが肉厚な演奏を生む原動力となる。今回の初共演は本当に楽しみだと語る2人の愉悦の表情が印象的だ。近藤「ブラームスはオーケストラの演奏とは異なり、ピアノの一つひとつの音が明瞭に聴こえ、響きやニュアンスがとても豊かです。低音の扱いも見事。きっと魅了されますよ」外山「いまひとつの壁を越え、自由で本来の自分を表現する演奏ができるようになりました。それを待望の2台ピアノの演奏で発揮したい」Cシー・バイ・シー×C 作曲家が作曲家を訪ねる旅 Vol.2 川上 統 × サン=サーンス時空を超えた音楽言語で表現される動物たち文:伊藤制子 神奈川県民ホールで2021年度から始動した新シリーズ「C×C(シー・バイ・シー) 作曲家が作曲家を訪ねる旅」。現在と過去を担う2人の作曲家を対比させて両者の魅力を再発見できるシリーズで、第1回「山本裕之 × 武満徹」は好評を博した。1月8日の第2回は「川上統 × サン=サーンス」で開催される。サン=サーンスの「動物の謝肉祭」は、カンガルーや象、時に人間さえもユーモラスにアイロニーたっぷりに描き出す名作。同作に、今もっとも充実した創作を展開中の川上への委嘱新作「ビオタの箱庭」が組み合わされる。1/8(土)15:00 神奈川県民ホール(小)問 チケットかながわ0570-015-415 https://www.kanagawa-arts.or.jp/tc/川上 統 川上はこれまで、動植物などの生態模写を思わせる独特の質感や皮膚感覚に訴える作品を発表してきた。新作には「サスライアリ」「コトドリ」などが登場する予定で、どんな風に音楽化されるか楽しみである。演奏には川上が信頼を置くピアノの阪田知樹、現代作品で存在感が増しつつあるヴァイオリンの尾池亜美などが参加。2人の作曲家が交差する世界を鮮やかに表現してくれることだろう。外山啓介 ©Yuji Hori
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